「オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件」の版間の差分
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事件は、[[1995年]][[4月19日]]の[[中部標準時]]午前9時2分に発生した。9階建のオクラホマシティ連邦地方庁舎「[[アルフレッド・P・マラー連邦ビル]]」の正面玄関前に駐車していた、大量の[[火薬|爆発物]]を積んだ[[貨物自動車|トラック]]が爆発した。爆発の威力は、[[マグニチュード]]3.0にも達したとされる。これにより、連邦ビルは全体のおよそ80%が破壊された。 |
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事件発生当初、[[犯行声明]]などが無かったため、犯行は[[ネオナチ]]や[[イスラム過激派]]によるものだと推測されたが、アメリカ国籍の[[白人]]であるティモシー・マクベイとその軍隊時代の同僚テリー・ニコルズらが[[逮捕]]された<ref name=20c>[https://books.google.co.jp/books?id=MxezE6wWzB4C&pg=PT21 ティモシー・マクベイ]『20世紀名言集大犯罪者篇』犯罪心理研究所、情報センター出版局, 2001, p185 </ref>。[[犯人]]がかつては[[アメリカ陸軍]]所属で、[[湾岸戦争]]にも参戦した経験のあるアメリカ人であった事は、アメリカ中に衝撃を与えた。 |
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爆破事件後も、市庁舎前に残っていた木(アメリカニレの木で1920年代の写真にもすでに写っており、事件当時樹齢80年と推定される)は「サバイバル・ツリー」として市のメモリアル(記念樹)になっており、映画『[[エリザベスタウン (映画)|エリザベスタウン]]』にもヒロインの「一番好きな木」として登場する。 |
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マクベイが影響されたと言われる、民兵組織「ミシガン民兵」の司令官ノーマン・オルソンは、1995年[[3月20日]]に起きた[[地下鉄サリン事件]]に、[[アメリカ合衆国連邦政府]]が秘密裏に関与しており、それに怒った[[日本国政府]]が、報復として爆破事件を起こしたとする、事実に基づかない声明を発表し、のちに組織を追放された<ref name=komori/>。 |
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== 脚注 == |
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*[[ウィリアム・ルーサー・ピアース]] - 主犯マクベイが影響された[[極右]]小説『ターナー日記』の著者 |
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2018年7月3日 (火) 18:20時点における版
オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件 | |
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爆発で破壊されたオクラホマシティ連邦政府ビル | |
場所 |
オクラホマ州オクラホマシティ アルフレッド・P・マラー連邦ビル |
座標 | 北緯35度28分22.4秒 西経97度31分01秒 / 北緯35.472889度 西経97.51694度座標: 北緯35度28分22.4秒 西経97度31分01秒 / 北緯35.472889度 西経97.51694度 |
日付 |
1995年4月19日 9時2分 (中部標準時) |
標的 | アルフレッド・P・マラー連邦ビル |
兵器 | 車爆弾 |
死亡者 | 168人 |
負傷者 | 約850人以上 |
犯人 |
ティモシー・マクベイ テリー・ニコルズ マイケル・フォティア |
対処 | 死刑 |
オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件(オクラホマシティれんぽうせいふビルばくはじけん、アメリカ英語: Oklahoma City bombing)とは、1995年4月19日にアメリカ合衆国オクラホマ州の州都オクラホマシティで発生した爆破テロ事件。
元陸軍兵士のティモシー・マクベイらが車爆弾でオクラホマシティ連邦地方庁舎を爆破し、子供19人を含む168人が死亡、800人以上が負傷した。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件が発生するまでは、アメリカ国内で最悪のテロ被害をもたらした事件であった。
事件の概要
事件は、1995年4月19日の中部標準時午前9時2分に発生した。9階建のオクラホマシティ連邦地方庁舎「アルフレッド・P・マラー連邦ビル」の正面玄関前に駐車していた、大量の爆発物を積んだトラックが爆発した。爆発の威力は、マグニチュード3.0にも達したとされる。これにより、連邦ビルは全体のおよそ80%が破壊された。
事件発生当初、犯行声明などが無かったため、犯行はネオナチやイスラム過激派によるものだと推測されたが、アメリカ国籍の白人であるティモシー・マクベイとその軍隊時代の同僚テリー・ニコルズらが逮捕された[1]。犯人がかつてはアメリカ陸軍所属で、湾岸戦争にも参戦した経験のあるアメリカ人であった事は、アメリカ中に衝撃を与えた。
陸軍退役後警備員や銃の販売などをしていた首謀者のマクベイは政府への強い敵意を抱くようになり[1][2]、白人至上主義やキリスト教原理主義の影響を受けた武装民兵組織「ミシガン民兵」などとも関係があったとされる[3][4]。事件を起こした4月19日は、2年前に武装カルト教団ブランチ・ダビディアンの信者80名以上がFBIとの銃撃戦で死亡した日であり、マクベイはこれをアメリカ合衆国連邦政府の横暴であるとし、連邦ビル爆破はその復讐であるとした[1]。
救助
爆破直後、救急隊、レスキュー隊のみならず周辺の住民もこぞって救助活動に参加し、充分な装備もないまま瓦礫の中を歩いたことで多数の負傷者が発生するという二次災害にも見舞われた。
事件後ビルの跡地は整備され慰霊公園が作られ、そこには犠牲者の氏名とともに救助活動に尽力した人々の名前も刻まれた。
裁判とその後
爆発したトラックからマクベイが降りるのを目撃した人物はいなかったが、検察側はマクベイがトラックをレンタルした際の領収書などの物的証拠のほか、マクベイが爆弾の材料を入手するのを目にした者や、彼の計画を聞いたという友人たちの証言を得ていた[5]。弁護側は、身元不詳の男が真犯人であることを示す証拠を提出しようとしたが、検察側はマクベイが爆破犯人であることを立証するのに成功し、1997年に有罪判決が下された[5]。アメリカ合衆国国務省は、本裁判において、陪審員の気を引くために、事件で死亡した幼い子供の最期の様子から話し始めた検察官ジョゼフ・ハーツラーの冒頭陳述は最も優れたもののひとつであると評価している[5]。
1993年の貿易センタービル駐車場爆破事件(6名死亡)と本事件の発生を受け、ビル・クリントン政権は1996年に、アメリカ市民以外の被疑者の場合は本人・弁護士に知らせない秘密証拠によって国外退去処分にでき、アメリカ市民であっても反米組織を援助した者は10年の刑に問われるとする反テロリズム法を制定した[6]。
その後、主犯のマクベイは、2001年6月11日に薬物による死刑が執行された。この模様は監視カメラ(CCTV)を通して、被害者の遺族に公開されたため論議を呼んだ。この時の裁判の裁判長は「これで枕を高くして眠れるでしょう。法がきちんと機能したのですから」と裁判後のインタビューで述べたが、死刑執行の丁度3ヵ月後の9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が発生した。
余談
事件発生直後、オクラホマシティ周辺に居たアラブ系アメリカ人を含むアラブ系の人物約数十人が一時警察に身柄を拘束された(大半が数時間以内に釈放)。
爆発物満載の車爆弾で連邦政府ビルが爆破される様子や、事件とは無関係なイスラム教徒が不当な捜査の対象にされる様子など、この時の状況は1998年公開の映画『マーシャル・ロー』においてインスパイアされている。また1999年の映画『隣人は静かに笑う』も、本事件をモチーフの一つとしている。
SF作家テリー・ビッスンは1999年、本事件の犠牲者遺族が報復用に主犯マクベイのクローンを受け取るという内容の短編「マックたち」(ハヤカワ文庫SF『90年代SF傑作選(下)』所収)を発表、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞している。
爆破事件後も、市庁舎前に残っていた木(アメリカニレの木で1920年代の写真にもすでに写っており、事件当時樹齢80年と推定される)は「サバイバル・ツリー」として市のメモリアル(記念樹)になっており、映画『エリザベスタウン』にもヒロインの「一番好きな木」として登場する。
マクベイが影響されたと言われる、民兵組織「ミシガン民兵」の司令官ノーマン・オルソンは、1995年3月20日に起きた地下鉄サリン事件に、アメリカ合衆国連邦政府が秘密裏に関与しており、それに怒った日本国政府が、報復として爆破事件を起こしたとする、事実に基づかない声明を発表し、のちに組織を追放された[4]。
脚注
- ^ a b c ティモシー・マクベイ『20世紀名言集大犯罪者篇』犯罪心理研究所、情報センター出版局, 2001, p185
- ^ ティモシー・マクベイ『知っておきたい 世界の悪人・暴君・独裁者』桐生操、西東社, Dec 20, 2012、p61
- ^ 《9・11》以前のアメリカにおける対テロ法制の展開《9・11》以後の「安全」と「自由」に関する予備的考察(1)、岡本篤尚、神戸学院法学第35巻第1号、2005年7月
- ^ a b 連邦政府への激しい敵意は民兵組織の主張の特徴 『アメリカの「影」の勢力』古森義久、PHP研究所, Jun 27, 1996
- ^ a b c 陪審裁判の構造アメリカ合衆国国務省国際情報プログラム局「eJournal」第14巻第7号、2009年7月
- ^ クリントン時代に「秘密証拠」採用『戦争熱症候群: 傷つくアメリカ社会』薄井雅子、新日本出版社, 2008, p66
関連項目
- ブランチ・ダビディアン
- ウィリアム・ルーサー・ピアース - 主犯マクベイが影響された極右小説『ターナー日記』の著者
- 大量殺人