「英連邦王国」の版間の差分

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いずれも[[イギリス連邦|コモンウェルス]]の加盟国であり、その内、[[イギリス]]以外は、かつてイギリスの[[植民地]]だったが、現在では、イギリスと対等な[[独立]]・[[主権国家体制|主権国家]]であり、イギリスを含む各国は、[[人的同君連合]](同一人が複数の国の[[君主]]を兼ねている・共通の[[中央政府]]を有さない・[[法人]]としての[[国家]]も別々)の関係にあたり、君主の地位(王位)も各々が独立している。
いずれも[[イギリス連邦|コモンウェルス]]の加盟国であり、その内、[[イギリス]]以外は、かつてイギリスの[[植民地]]だったが、現在では、イギリスと対等な[[独立]]・[[主権国家体制|主権国家]]であり、イギリスを含む各国は、[[人的同君連合]](同一人が複数の国の[[君主]]を兼ねている・共通の[[中央政府]]を有さない・[[法人]]としての[[国家]]も別々)の関係にあたり、君主の地位(王位)も各々が独立している。


例えば、現在のエリザベス2世は、[[バハマ]]で「[[バハマ国王|バハマ女王]]」として、[[カナダ]]で「[[カナダ国王|カナダ女王]]」として、[[ツバル]]で「[[ツバル国王|ツバル女王]]」として、それぞれ[[象徴君主制|君臨する(君臨すれども統治せず)]]のであり、いずれも決して「[[イギリスの君主|イギリス女王]]」としてではなく、それぞれの独立国家の君主として君臨する。
例えばエリザベス2世は、[[バハマ]]で「[[バハマ国王|バハマ女王]]」として、[[カナダ]]で「[[カナダ国王|カナダ女王]]」として、[[ツバル]]で「[[ツバル国王|ツバル女王]]」として、それぞれ[[象徴君主制|君臨する(君臨すれども統治せず)]]のであり、いずれも決して「[[イギリスの君主|イギリス女王]]」としてではなく、それぞれの独立国家の君主として君臨する。


20世紀の半ば([[第二次世界大戦]]終結)までは、「[[自治領]](ドミニオン、{{Lang-en-short|dominion}})」と呼ばれていたものの、1926年の帝国会議で[[主権]]的地位がイギリスから承認され、1931年の[[ウェストミンスター憲章]]の採択によって実質的に独立国となった。
20世紀の半ば([[第二次世界大戦]]終結)までは、「[[自治領]](ドミニオン、{{Lang-en-short|dominion}})」と呼ばれていたものの、1926年の帝国会議で[[主権]]的地位がイギリスから承認され、1931年の[[ウェストミンスター憲章]]の採択によって実質的に独立国となった。

2022年9月9日 (金) 03:19時点における版

青が現在の英連邦王国。赤がかつて英連邦王国であった国。

英連邦王国(えいれんぽうおうこく、英:Commonwealth realm)、あるいは、コモンウェルスレルム(一般に定着した日本語訳が存在しないため)は、コモンウェルスの加盟国で、イギリスの君主法人としての国王も参照)に在位する者を自国の君主国王)・元首として戴く、個々の独立した主権国家を指す。

「英連邦王国(Commonwealth realm)」という名称の、1つの王国が存在するわけでもなければ、1つの連邦が存在するわけでもなく、あるいは、1つの国家や1つの国家連合が存在するわけでもなく、あくまでも個々の独立した主権国家を各々「Commonwealth realm」と呼び、2021年の時点で15か国が存在する。

概要

各国の地位・関係

いずれもコモンウェルスの加盟国であり、その内、イギリス以外は、かつてイギリスの植民地だったが、現在では、イギリスと対等な独立主権国家であり、イギリスを含む各国は、人的同君連合(同一人が複数の国の君主を兼ねている・共通の中央政府を有さない・法人としての国家も別々)の関係にあたり、君主の地位(王位)も各々が独立している。

例えばエリザベス2世は、バハマで「バハマ女王」として、カナダで「カナダ女王」として、ツバルで「ツバル女王」として、それぞれ君臨する(君臨すれども統治せず)のであり、いずれも決して「イギリス女王」としてではなく、それぞれの独立国家の君主として君臨する。

20世紀の半ば(第二次世界大戦終結)までは、「自治領(ドミニオン、: dominion)」と呼ばれていたものの、1926年の帝国会議で主権的地位がイギリスから承認され、1931年のウェストミンスター憲章の採択によって実質的に独立国となった。

このウェストミンスター憲章の時点では、まだ法人としてのイギリス国王への忠誠が自治領の条件として残っていたが、それも1949年のロンドン宣言によって不要となり、この頃から「自治領(ドミニオン、: dominion)」の呼称も使用されなくなったことで、新たに「Commonwealth realm(コモンウェルス・レルム)」と呼ばれるようになった。

王位の関係・継承

現在の君主は、チャールズ (プリンス・オブ・ウェールズ)であり、その王位の法定推定相続人ウィリアムである。

前述の通り、あくまでも同一人物を共通の君主として戴く独立国家どうしの関係のため、各々の王位は相互に独立している関係にある。それゆえ、王位継承の資格や順序を改める際には、各国で足並みを揃えて国内法を改正する必要があり、その実例として、2011年に王位継承順位などを改めるパース協定が各国間で締結され、全ての国において法的手続きが完了した2015年に新たな王位継承ルールが発効している。

現在のエリザベス2世のように君主が女性の場合、いずれの王位も名称が「Queen(クイーン)」となり、それが男性であれば「King(キング)」となる、という点も同様・共通である。

総督

君主は、基本的にイギリスに在住しているため、イギリス以外では、その任命する総督が代理を務める(各国内の序列の上で国王に次ぐ次席にあたる)。

いずれの国も、政体の基礎としてイギリス式のウェストミンスター・システムを採用し、形式上の君主主権の下、「議会における女王」の概念に則り、法人としての国王に帰属する国王大権議会を通じて行使され、首相が実質的な政治リーダーを務める議院内閣制によって統治されており、君主や総督は、首相・内閣枢密院からの助言輔弼)の通りに名目上の大権を行使するものとされ、その職務の多くが儀礼的・形式的な行為であり、「君臨すれども統治せず」の原則が貫かれている。

総督の人選も各国内で行われ、各国の政府(首相や内閣)から推薦された人物が君主によって総督に任命される。

現在の君主

歴代 肖像 誕生 即位 在位期間 続柄
ウィンザー朝
第5代
チャールズ3世 Charles III 1948年11月14日(75歳) 2022年9月8日 1年267日 女王エリザベス2世第1王子

現在の英連邦王国一覧

国旗 国名 英連邦王国になった年 エリザベス2世の称号 王旗
アンティグア・バーブーダ 英国から独立した1981年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of Antigua and Barbuda and of Her other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
神の恩寵による、アンティグア・バーブーダならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
アンティグア・バーブーダ国王
オーストラリア ウェストミンスター憲章採択の1942年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of Australia and Her other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
神の恩寵による、オーストラリアならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
オーストラリア国王
バハマ 英国から独立した1973年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of the Commonwealth of the Bahamas and of Her other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
神の恩寵による、バハマならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
バハマ国王
ベリーズ 英国から独立した1981年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of Belize and of Her Other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
神の恩寵による、ベリーズならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
ベリーズ国王
カナダ ウェストミンスター憲章採択の1931年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, of the United Kingdom, Canada and Her other Realms and Territories Queen, Head of the Commonwealth, Defender of the Faith
フランス語: Elizabeth Deux, par la grâce de Dieu Reine du Royaume-Uni, du Canada et de ses autres royaumes et territoires, Chef du Commonwealth, Défenseur de la Foi
神の恩寵による、連合王国、カナダならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、信仰の擁護者、エリザベス2世
カナダ国王
ファイル:Royal standard of Canada.svg
グレナダ 英国から独立した1974年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland and of Grenada and Her other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
神の恩寵による、グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国、グレナダならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
グレナダ国王
ジャマイカ 英国から独立した1962年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of Jamaica and of Her other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
神の恩寵による、ジャマイカならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
ジャマイカ国王
ニュージーランドニュージーランド王国 ウェストミンスター憲章採択の1947年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of New Zealand and Her Other Realms and Territories, Head of the Commonwealth, Defender of the Faith
神の恩寵による英語版、ニュージーランドならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、信仰の擁護者、エリザベス2世
ニュージーランド国王
ファイル:Royal Standard of New Zealand.svg
パプアニューギニア オーストラリアから独立した1975年 Elizabeth the Second, Queen of Papua New Guinea and of Her other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
パプアニューギニアならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
パプアニューギニア国王
セントクリストファー・ネイビス 英国から独立した1983年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of Saint Christopher and Nevis and of Her other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
神の恩寵による、セントクリストファー・ネイビスならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
セントクリストファー・ネイビス国王
セントルシア 英国から独立した1979年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of Saint Lucia and of Her other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
神の恩寵による、セントルシアならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
セントルシア国王
セントビンセント・グレナディーン 英国から独立した1979年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of Saint Vincent and the Grenadines and of Her other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
神の恩寵による、セントビンセント・グレナディーンならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
セントビンセント・グレナディーン国王
ソロモン諸島 英国から独立した1978年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of the Solomon Islands and of Her other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
神の恩寵による、ソロモン諸島ならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
ソロモン諸島国王
ツバル 英国から独立した1978年 Elizabeth the Second, by the Grace of God, Queen of Tuvalu and of Her Other Realms and Territories, Head of the Commonwealth
神の恩寵による、ツバルならびに他のレルムや領域の女王、コモンウェルスの長、エリザベス2世
ツバル国王
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国 - Elizabeth the Second, by the Grace of God, of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland and of Her Other Realms and Territories Queen, Head of the Commonwealth, Defender of the Faith
ラテン語: Elizabeth Secunda Dei Gratia Britanniarum Regnorumque Suorum Ceterorum Regina Consortionis Populorum Princeps Fidei Defensor
神の恩寵による英語版、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国ならびに他のレルム領域の女王、コモンウェルスの長信仰の擁護者、エリザベス2世
イギリス国王

独自の王位を持たないがコモンウェルス・レルムに含まれる国・地域

ニュージーランド国王(女王)を君主として戴くコモンウェルス・レルムたる、ニュージーランド王国(レルム・オブ・ニュージーランド、: Realm of New Zealand)には、ニュージーランドのみならず、以下の地域が含まれる。

  1. ニュージーランド自由連合を結び、それぞれ数十か国に国家として承認されている、事実上の独立国。
    1. クック諸島
    2. ニウエ
  2. その他の地域
    1. トケラウ国際連合非自治地域リストに掲載)
    2. ロス海属領南極においてニュージーランドが領有権を主張している地域

過去の英連邦王国一覧

シエラレオネ女王旗
トリニダード・トバゴ女王旗
マルタ女王旗
モーリシャス女王旗
バルバドス女王旗

かつての英連邦王国の一覧。1992年のモーリシャス以降は長らく離脱国はなかったが、2021年にバルバドスが離脱した。

なお、この中で1952年以降に独立した国家には女王のエリザベス2世のみが在位したことから、「国王(男)」は存在しない。

ドミニオンであったがコモンウェルス・レルムにならなかった地域

国王が即位を拒否した地域

  • ローデシア - 1965年に一方的に独立を宣言し、またローデシア政府は英連邦王国の一員としてエリザベス2世をローデシア女王として承認したことを発表した。しかし当人はこれを拒否し、結局1970年にローデシアが共和制への移行を宣言したことで空位のまま消滅した。

脚注

関連項目