ローリングサンダー (コンピュータゲーム)

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ローリングサンダー』 (Rolling Thunder) は、1986年12月にナムコ(現・バンダイナムコゲームス)が開発したコンピュータゲームアーケードゲーム)である。

横スクロール方式のアクションゲームであり、'60年代のアメリカを舞台に、スパイ映画風のハードボイルドテイストを基調にしながら、改造人間といった近未来的サイバーテイストも加味した独特の世界観を持つ。1991年には続編の「ローリングサンダー2」もリリースされた。

ゲーム内容

プレーヤーは主人公「アルバトロス」を操り、秘密組織「ゲルドラ」の地下基地へと潜伏していくアクションシューティングゲームであり、最終ステージに待つマブーを倒すことでゲームクリアーとなる。しかし、マブーを守る様々な敵キャラクターとトラップが行く手を遮っており、プレーヤーは唯一の武器であるハンドガンマシンガン)と最強の工作員としてのテクニックでそれらの障害を乗り越え、世界征服の野望を打ち砕く。

アクションゲームの最盛期ともいえる年代に製作されたゲームであり、強化アイテムや体力制など当代的なフューチャーを盛り込みつつも、スパイ映画風のBGM、ハードボイルドなテイストとハード過ぎる難易度で他のアクションゲームとは一線を画した強い個性を醸し出しており、いまだに一部ファンに高い人気を誇る作品である。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


ストーリー

1968年ニューヨークに、「マブー」と名乗る国籍も年齢も不明な男が現れた。彼は、人々の前でさまざまな奇跡を起こし、ついには世界の終わりを語り自らを救世主と名乗る。しかし、彼の正体は秘密組織「ゲルドラ」を率い世界征服をたくらむ男だった。

ゲルドラの野望に気がついた世界刑事警察機構(WCPO)は、その秘密を探るべく女性工作員「レイラ」を派遣するが、彼女は「マブー」に捕まってしまった。彼女を救出しなくては、ゲルドラの計画は闇に葬られてしまう。

事態を重く見たWCPOは、最強の工作員を派遣することを決定する。その男のコードネームは「アルバトロス」。そして、彼らのチーム名は、「ローリングサンダー」。

レイラの救出とゲルドラの野望を阻止するため、彼は一人闇へと消えていく。

システム

アーケード版とファミコン版で若干異なるが、特に記載のない限りアーケード版についての記述である。

操作方法

  • 4方向レバーと攻撃ボタン及びジャンプボタンで操作する。レバーの左右操作で前進及び方向転換。レバーの下操作でしゃがみ、レバー上操作で部屋や金網の中に入ることができる。また、レバー上操作時にジャンプボタンを押すと、2階にあがることができる。2階から降りる場合は、手すりがある場所でレバー下操作時にジャンプボタンを押す。なお、階段はレバーの左右操作で上り下りができる。
  • アクションゲームとしては珍しく、基本的にジャンプで敵を飛び越すことができない。
  • 武器は攻撃ボタンによる射撃(ハンドガン)であり、弾数制限がある。規定弾数を使い切っても発砲は可能であるが、その場合、弾速が非常に遅くなり、1画面中に1発のみしか発射できなくなる。
  • 武器の弾数は補充可能であり、各ステージ内にある部屋(BULLETと表現されている)に入ることにより補充可能。
  • また、武器の強化も可能であり、弾数補充と同様に各ステージにある部屋(ARMSと明記されている)に入ることによりハンドガンからマシンガンへ換装される(武器の選択はできず、優先的にマシンガンから使用される)。マシンガンは連射可能であるほか弾速も上がり、強力な武器となるが、連射可能なゆえに弾薬が底をつきやすい。なお、マシンガンの残弾を使い切ると、ハンドガンへ自動的に換装される。

その他

  • プレーヤーの死亡判定は、アルバトロスがすべての体力を消費した場合、画面外に転落した場合(落とし穴や地底溶岩)、制限時間が0になった場合である。
  • アルバトロスの体力はゲージで表現されており(ゲーム中はLIFEと書かれた緑色のゲージ)、8つのセグメントに分かれている。このセグメントは、敵の体当たりを受けると1度に4つのセグメントを消費し、さらには敵の放つ銃弾や手榴弾、トラップレーザーに当たると1発で8つのセグメントを消費する。つまり事実上一撃で死亡することになり、これでは体力制ではないとも言われたこともある。

登場キャラクター

主な登場人物

アルバトロス
本作の主人公としてプレーヤーが操作するキャラクターであり、WCPO最強の工作部隊「ローリングサンダー」に所属する最強の工作員。赤いシャツにグレーのパンツ、痩身で非常に長い手足から、一見すると「ルパン三世」のようなイメージのキャラクターである。キャラクターアクションが秀逸であり、階段から飛び降りるアクションは必見。 
レイラ
ローリングサンダーのメンバーである女性工作員。任務中にゲルドラに捕まってしまう。彼女を救出することがこのゲームの目的のひとつである。
NEWバージョンでは、ステージクリア後に彼女のデモンストレーションを見ることができるが、衣装が剥ぎ取られるシーン等があり、一般向けアクションゲームでありながら年齢制限を受けている。
マブー
エリア10でプレーヤーを待ち構える秘密組織ゲルドラの首領。世界征服をもくろむ謎の男。彼を倒すことがゲームの目的である。青い法衣にスキンヘッド(デモンストレーションでは緑の顔)で、砲弾を飛ばしたり体当たりで攻撃してくる。非常に耐久力が高く、倒すためには25発打ち込まなければならない。

敵キャラクター

マスカー
すべてのステージに登場する敵キャラクター。カラフルに着色されたマスクを着用し、銃撃や体当たり、手榴弾を投げつけてくる。ゴーグルをつけたマスカーは耐久力が高い。また、彼らのマスクは、クー・クラックス・クランが宗教儀式で好んで使用したマスクを模してあり、オールドアメリカンテイストと怪しげな雰囲気をかもし出している。
ニンジャ
普段は壁と同化し、プレーヤーが近づくと実体化する。実体化後のアクションは、マスカーとほぼ同様。色によって耐久力が異なる。
ブローガ
黄色い肌をした半獣人の人造人現。プレーヤーが一定の距離に近づくと飛び掛ってくる。背が低く、しゃがんで攻撃しないと弾は当たらない。
ゲルゾ
コウモリのような翼を持つ人造人間。通常は停止しているが、プレーヤーが近づくと空中に舞い上がり、1~3回程画面内で旋回した後、プレーヤーめがけて突撃してくる。
ファイヤーマン
全身が燃え滾る炎に包まれた人造人間。溶岩から飛び出し、何度か画面内を跳ね回った後、どこかへ消えていく。攻撃すると4つに破片に四散する(破片にも攻撃判定が存在するので注意)。破片も破壊可能。
パンサー
。プレーヤーが近づくと飛び掛ってくる。身長が低いため、伏せられるとプレーヤーの攻撃が当たらない。

ステージ構成

ステージ構成は、廃屋~地下階段~地下通路~地底溶岩~ゲルドラ秘密基地内部からなる5つのステージを2週する。なお、2週目のステージについて、構造に変更はないが、敵やトラップの配置が変更になっており、難易度が上昇している。

廃屋
廃棄されたビルから、地下階段に通ずるステージ。前半は上下2フロアーの横スクロール、後半は1フロアーでタイヤなど障害物が多く配置されている。
地下階段
地上から地下通路に通ずるステージ。前半はコンテナの中を上に向かい、後半は階段を下に降りていく。階段を下りる際に、注意しないと隠れているニンジャに激突という事故が多発する。このステージは画面外に転落する場所がある。
地下通路
ゲルドラ秘密基地に通ずる地下通路、一見すると廃屋と似た構造であるが、壁や床が岩で描かれている。ブローガやゲルゾが多発する。
地底溶岩
ゲルドラ秘密基地の直前に設置された地底溶岩湖。落ちるとプレーヤーが死亡する地底溶岩湖に、飛び石のような足場が絶妙な位置で設置されている。さらに、画面下から飛び出してくるファイアーマンの体当たりなどがあり非常に高い難易度を誇る。
ゲルドラ秘密基地内部
ゲルドラの秘密基地であり、2週目は最終ステージとしてボスであるマブーが待ち構える。構造は廃屋と同様であるが、床や壁が鉄製である。

小技

  • 2画面分スクロールさせるとキャラクターが初期化されるため、多数の敵に囲まれた場合やマシンガンの弾数増やしたい場合は、2画面分戻ることで出現し直させることができる。
  • 障害物に隠れて攻撃できない敵は、プレーヤーがハイジャンプ(レバー上をおしながらジャンプ)することで敵のジャンプを誘発できる。
  • ハンドガンの弾速とプレーヤーの移動速度が近いことから、あらかじめ弾を打っておき、それを追いかけることで敵に攻撃される前に倒すことができる(同社のゲーム「ドラゴンバスター」でいうファイアーボールバリヤー)。

その他

  • BGMは「ギャプラス」「ドルアーガの塔」「トイポップ」などを担当したZUNKOこと小沢純子
  • このゲームは、異なる2つのバージョンが存在している。原因は、あまりにも高い難易度のためインカム(収益)が上がらず、出店先から苦情が続出したためという説がある。なお、このバージョンの違いは以下の通り。
  1. 低次面の難易度の低下、高次面の難易度の上昇
  2. エクステンドの追加
  3. ゲームミュージックの変更
  4. ステージクリアのデモンストレーションの追加

移植版