スタインバーガー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。並木晃一 (会話 | 投稿記録) による 2012年5月24日 (木) 15:15個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎スタインバーガーを使用したアーティスト)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

スタインバーガー(Steinberger Sound Corporation)は、アメリカ合衆国テネシー州ナッシュビルにある楽器メーカー。

概要

創業者のネッド・スタインバーガーはもともと業務用家具のデザイナーであったが、1975年ベースギター職人のスチュアート・スペクターと知り合い、電気楽器のデザインの道に入る。その後、1980年に同社を設立。現在まで革新的な製品を開発し続けている(ただし同社の製品は品薄なことでも知られる)。

2009年現在、製品のラインナップが大幅に整理され、"シナプス (Synapse) シリーズ"と韓国製の入門機種である"Spirit by STEINBERGER"、そして新たに設計されたトランストレム3を採用したZT-3ギターに整理された。日本国内での輸入代理店は長らくZEN-ONが担当していたが、スタインバーガーがギブソンに売却された際に契約が終了、再生産開始後は新星堂が担当するようになったが、2008年11月に輸入代理店業務を終了した。現在はGibsonが代理店を担当、少量が輸入されている。

製品の特徴

ダブルボールと呼ばれる、両端にボールエンドがついた特殊な弦を使用することで、弦交換を容易にしている(ダブルボール・チューニング・システム)。また、通常のギターに存在しているマシンヘッドを、マイクロメーターの構造を転用したチューナーに置き換えている。これにより、既存のギターに付き物だった、構造上のヘッドを取り払ったデザインを持つ[1]

ネックの素材には、主にグラファイトとカーボンを独自の比率でミックスさせた合成素材が用いられる。理論上、スタインバーガーブレンドのネックには反りが発生しないとの考慮から、ギブソン社売却以前から工場がナッシュビルに移転する以前(ナッシュビル以前は、ニューヨーク州ニューバーグが製造拠点)のモデルには、トラスロッドが用いられていなかった。 ラインナップの大幅な整理が行われた後の現行モデルは、それまでの合成素材ネックから、メイプルの3ピースネックにフェノリック樹脂の指板、グラファイト製トラスロッドチャンネルを組み合わせた"Cybro-Sonic Neck"に改められている。

製造時期と資本の面から見ると、同社のギターにはギブソン社への売却以前のニューバーグ製造モデル、ギブソン社に売却後のニューバーグ製造モデル、それ以後のナッシュビル製造モデルが存在する。なお、ギブソンは1990年代後半、一時的にスタインバーガーの製造と販売を中止していた(現在も生産数は極めて稀少である)。

年譜

  • 1976年 - ネッドが、ベースギターの銘品として知られるスペクター社のNS(ネッドの頭文字を取った名称である)シリーズをデザイン。
  • 1979年 - ヘッドレス・デザインのベースギター「L2」をデザイン。この試作品はジョン・エントウィッスルトニー・レヴィンに供給された。
  • 1980年 - スタインバーガー・サウンド・コーポレーション設立。L2ベースの製造販売に乗り出す。
  • 1981年 - L2が、アメリカ工業デザイン協会(Industrial Designers Society of America、略称:ISDA)から優秀なデザインの製品として表彰を受ける。
  • 1982年 - L2と同じく、ヘッドレス・デザインのエレクトリックギター「GL」の試作品を製作。ギターの製造販売にも乗り出すことになる。
  • 1984年 - 史上初の「和音の各音程間の関係性を保ったままアーミングができる」トレモロ・ユニット、トランストレムを発表。
  • 1987年 - マイク・ラザフォードらとの協働により、GMシリーズをデザイン。同年、ベースギター用トランストレムを発表。ネッドは、ギブソン社にスタインバーガー・サウンド・コーポレーション社を売却し、以降はデザイナーとして、スタインバーガー・サウンド・コーポレーション社に関わるようになる。
  • 1988年 - カーズのエリオット・イーストンの要望を受けて、左利き用トランストレムを開発。スティーヴ・クラインによるボディ・デザインのGKシリーズを発表。GKシリーズはビル・フリゼールが愛用した。(フリゼールが使っていたのは厳密にはスタインバーガーのパーツを流用したクラインのカスタムモデルである。)
  • 1992年 - ナッシュビルに移転。

スタインバーガーを使用したアーティスト

脚注

  1. ^ ヘッドをギターから取り払うというアイデアは、スタインバーガー以前にレス・ポールも温めていた。実際にレスは、"Headless Wonder"と呼ばれるチューナーをボディエンドに取り付けた、ヘッドの無いギターを、スタインバーガーの遥か以前に試作している。なお、"Headless Wonder"のボディはアルミニウム製で、板金によってホロウボディ構造になっている。

関連項目

外部リンク