ゲンゲ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Keisotyo (会話 | 投稿記録) による 2015年4月10日 (金) 20:48個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ゲンゲ
ゲンゲ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: ゲンゲ属 Astragalus
: ゲンゲ A. sinicus
学名
Astragalus sinicus L.
和名
ゲンゲ
英名
Chinese milk vetch

ゲンゲ(紫雲英、翹揺 Astragalus sinicus)はマメ科ゲンゲ属分類される越年草である。中国原産。レンゲソウ(蓮華草)、レンゲ、とも呼ぶ。

特徴

湿ったところに生える。全体に柔らかな草である。 茎の高さ10-25 cm。根本で枝分かれして、暖かい地方では水平方向に匍匐し、60-150 cmまで伸びる場合もある。茎の先端は上を向く。また、根本から一回り細い匍匐茎を伸ばすこともある。 葉は一回羽状複葉、小葉は円形に近い楕円形、先端は丸いか、少しくぼむ。一枚の葉では基部から先端まで小葉の大きさがあまり変わらない。 花茎は葉腋から出て真っ直ぐに立ち、葉より突き出して花をつける。花は先端に輪生状にひとまとまりにつく。花色は紅紫色だが、まれに白色(クリーム色)の株もある。

利用・文化

ゲンゲの花は、良い「みつ源」になる。蜂蜜の源となる蜜源植物として利用されている。 ギリシア神話では、祭壇に捧げる花を摘みに野に出た仲良し姉妹の話が有名。ニンフが変身した蓮華草を誤って摘んでしまった姉のドリュオペが、代わりに蓮華草に変わってしまう。「花はみな女神が姿を変えたもの。もう花は摘まないで」、と言い残したという。

日本における利用・文化

春の季語。 ゆでた若芽は食用にもなる(おひたし、汁の実、油いため他)。 民間薬として利用されることがある(利尿や解熱など)。 ゲンゲの花を歌ったわらべ歌もある。「春の小川」などが有名。 「手に取るな やはり野に置け 蓮華草」は、江戸時代滝野瓢水が詠んだ俳句遊女身請しようとした友人を止めるために詠んだ句で、蓮華(遊女)は野に咲いている(自分のものではない)から美しいので、自分のものにしてはその美しさは失われてしまうという意味。転じて、ある人物を表舞台に立つべきではなかったと評する意味合いでも使われる(荒舩清十郎の項目を参照)。 乳牛を飼っているところでは、飼料とした。 休耕田の雑草防止策にもなった。ゲンゲの生える中に不耕起直播して乾田期除草剤を使わないですむ方法、ゲンゲの枯れぬうちに入水、強力な有機酸を出させて雑草を枯死させる方法がある。ただしゲンゲは湿害に弱く、不耕起では連作障害が起きかねず、アルファルファタコゾウムシが大発生するなど難点もある。

ゲンゲ畑

化学肥料が使われるようになるまでは、緑肥(りょくひ = 草肥:くさごえ)およびの飼料とするため、8-9月頃、稲刈り前の水田の水を抜いて種を蒔き翌春に花を咲かせていた。これはゲンゲ畑と呼ばれ、昭和末頃までの「春の風物詩」であったが減少している。かつて水田に緑肥として栽培され、現在[いつ?]でもその周辺に散見される。 畑は田植えの前に耕し、ゲンゲをそのまま鋤きこんで肥料とした。窒素を固定する(大気中の窒素を取り込んで窒素肥料のようなかたちで蓄える)根粒菌の働きで、ゲンゲの根には球形の根粒がつく。ゲンゲの窒素固定力は強大で10 cmの生育でおおよそ10 アール 1 t の生草重、4-5 kg の窒素を供給し得る。普通15ないし20 cmに成長するからもっと多くなるはずである。

地方公共団体の花に指定している自治体

外部リンク