涙活
涙活(るいかつ)とは意識的に泣くことでストレス解消を図る活動のことである。寺井広樹によって考案、提唱された言葉である。
涙を流すことにより、人間の自律神経は緊張や興奮を促す交感神経が優位な状態から、リラックスや安静を促す副交感神経が優位な状態に切り替わる。涙活は、この仕組みを利用したストレス解消法とされている[1]。
ストレス解消に効果があるのは、悲しみや感動などによる情動の涙。なお目を潤すための基礎分泌の涙や、タマネギを切った際に出る角膜保護の涙には、ストレス解消効果はない。こうした涙の効果に注目が集まり、泣ける映画や朗読を聞いて意識的に涙を流す涙活イベントも各地で開催され[2]、泣ける話に特化した噺家として泣語家も登場している。
涙活をともにした仲間を涙友という[3]。
泣語
涙活の一環として創案された落語のジャンル。「泣ける話」に特化した人情噺とされる。自らの体験を基に語る「体験泣語」と伝聞に基づく「創作泣語」に分けられ、噺家は「泣語家」と称される。泣語は5分以内で終わる噺と定められており、泣語家は客の涙を誘うため自身が嗚咽して泣語を演じるという作法になっている。また泣語家はブータンの民族衣装をもとした「泣き装束」を着用しているが、これはブータンのジグミ・シンゲ・ワンチュクが提唱した国民総幸福量の影響を受けたためであるという[4][5]。
創案者である寺井は、自身が行っている涙活イベントにおいて動画を上映した際に高齢者の反応が悪かったため、高齢者でも泣けるようなイベントとして考案したとしている[5][6]。しかしNEWSポストセブンには泣語を含む涙活イベントを批判する記事が掲載されており[7]、また快楽亭ブラックも「噺家の間では、笑わせる方が大変で、泣かせる方が簡単と言われる」が「これじゃあ誰も泣かない」と批判している[6]。
関連事項
脚注
- ^ 心に効く! 働き女子を救う「涙活」って?、日経ウーマンオンライン、2013年2月18日。
- ^ 「涙活」発案者が語る “涙の効能” ― 泣くだけでストレスは吹き飛ぶ!、PHP Biz Online 衆知、2014年2月24日。
- ^ 【『深・裏・斜』読み】きょうのテーマ「就活、妊活…『○活』って多くない?」
- ^ “笑うよりも難しい?泣くために聞く落語「泣語(なくご)」とは”. エキサイトニュース. (2013年9月11日) 2016年6月18日閲覧。
- ^ a b “泣いてスッキリ?!「泣語」を聞いてみたら”. 日経ウーマンオンライン. (2013年10月29日) 2016年4月9日閲覧。
- ^ a b 「泣かしたい、癒やしたい 落語家ならぬ『泣語家』奮闘中」『朝日新聞』2014年1月8日付夕刊東京版9面。
- ^ “「涙活」イベント参加者 過剰演出で「全然泣けない」と苦言”. NEWSポストセブン. (2013年11月24日) 2016年6月18日閲覧。