南アフリカ対イスラエル (ジェノサイド条約)

南アフリカ対イスラエル (ジェノサイド条約)
裁判所	国際司法裁判所
正式名	ガザ地区における集団殺害罪の防止および処罰に関する条約の適用（南アフリカ対イスラエル）
裁判開始	2023年12月29日
判決	審議中
主張	イスラエルは、ジェノサイド条約に違反して、ガザ地区のパレスチナ人に対してジェノサイド行為とジェノサイドを行い、現在も行っている。
裁判所のなす判断
本案審理に先立ち、イスラエルに対してジェノサイドとみなされる可能性のある行為を防止するためのあらゆる措置を講じるよう仮保全措置（暫定措置）の命令を発した。
裁判所の面々
主席裁判官	ジョアン・ドノヒュー (所長) キリル・ゲボージャン (副所長)
陪席裁判官	ペーテル・トムカ ロニー・アブラハム モハメッド・ベヌーナ アブドゥルカウィ・ユスフ 薛捍勤（シュエ・ハンチン） ダルヴィール・バンダーリ パトリック・リプトン・ロビンソン ナワーフ・サラーム 岩澤雄司 ゲオルグ・ノルテ レオナルド・ネメール・カルデイラ・ブラント ジュリア・セブティンデ ヒラリー・チャールズワース アハロン・バラク(アドホック裁判官) ディクガン・モセネケ(アドホック裁判官)
キーワード
イスラエル・パレスチナ紛争 占領 国際公法

南アフリカ対イスラエル（みなみアフリカたいイスラエル、英語: South Africa v. Israel）、「ガザ地区における集団殺害罪の防止および処罰に関する条約の適用（ガザちくにおけるしゅうだんさつがいざいのぼうしおよびしょばつにかんするじょうやくのてきよう、Application of the Convention on the Prevention and Punishment of the Crime of Genocide in the Gaza Strip）」）は、2023年パレスチナ・イスラエル戦争の一環としてガザ地区でのイスラエルの行為に関して南アフリカが2023年12月29日に国際司法裁判所（ICJ）に起こした訴訟である。

概要

南アフリカ共和国は、イスラエルがガザ地区でパレスチナ人に対してジェノサイドを犯し、そして現在行っていると主張し、南アフリカがイスラエルの75年間のアパルトヘイト、56年間の占領、16年間のガザ地区封鎖と描写するものを含めて、ジェノサイド条約に違反したと主張した。南アフリカは国際司法裁判所に対し、ガザ地区内およびガザ地区に対する軍事作戦の即時一時停止を含む仮保全措置（暫定措置）を示すよう要請した。南アフリカ政府の法務チームには、ジョン・ドゥガード、アディラ・ハシム、テンベカ・ングクカイトビ、ブリン・ニ・グラーレー、ヴォーン・ロウらが含まれている。また、ディクガン・モセネケ をアドホック裁判官に任命した。

イスラエル外務省は南アフリカの告発を「根拠がない」と特徴づけ、南アフリカ政府をハマスの「法的機関として機能している」と述べた。イスラエルは、2023年10月7日のハマス主導によるイスラエル領土への攻撃を受け、国際法に従って自衛戦争を行っていると述べた。イスラエル側の代理人にはマルコム・ショーやタル・ベッカーを含む数人の弁護士が名を連ねている。アハロン・バラクをアドホック裁判官に任命した。

南アフリカの保護的仮保全措置の要請に関して、2024年1月11日と12日の2日間、ハーグの平和宮で2日間の公聴会が開催された。国際司法裁判所は2024年1月26日に仮保全措置要請に関連する命令を出し、イスラエルに対し、 1948年のジェノサイド条約に従ってジェノサイド（集団殺害）とみなされる可能性のある行為を防止するためのあらゆる措置を講じるよう命じた。国際司法裁判所は、南アフリカが主張する行為の少なくとも一部はジェノサイド条約の規定に該当すると思われると述べた。国際司法裁判所は、南アフリカが要求していたガザ地区での軍事行動の一時停止をイスラエルに命じなかった。南アフリカとイスラエルの当局者は両方ともこの決定を歓迎し、それぞれがこれを勝利だと考えた。 法廷はまた、ガザ地区で拘束されている人質の運命について「重大な懸念」を表明し、最終判決を前にガザ地区の壊滅的な状況が「さらに悪化する重大な危険にさらされている」と認めた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、イスラエルが国際司法裁判所の仮保全措置に従わなかったと述べた。 2024年3月28日、2回目の追加仮保全措置要請を受けて、国際司法裁判所は最初の判決以来の状況悪化を考慮し、新たな緊急措置を命じた。ガザ地区の人々が飢饉と飢餓に直面している中、イスラエルに対し、遅滞なく基本的な食料供給を確保するよう命令した。

背景

ジェノサイド条約

詳細は「ジェノサイド条約」を参照

1948年に国連総会は集団殺害罪の防止および処罰に関する条約を全会一致で採択し、ジェノサイドを「国民的、人種的、民族的または宗教的集団の全部または一部を破壊する意図をもって行われた、次の行為のいずれをも」と定義した。その行為とは、保護された集団構成員を殺害すること、重大な肉体的または精神的な危害を加えること、全部または一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対して故意に課すること、子どもの出生を防止することを意図した措置を課すること、子どもを保護された集団から強制的に移送することだった。被害者は、保護された国民的、人種的、民族的または宗教的集団の実際の構成員であるか、またはその構成員であると判断されたという理由で標的にされなければならない。

イスラエルと南アフリカは両国とも無条件にジェノサイド条約に署名し、批准している。

訴訟手続き

公聴会はハーグの平和宮殿で開催された

訴訟手続きは、ジェノサイド条約に従って、2023年12月29日に国際司法裁判所で開始され、条約第9条に従って提起された。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ国際司法部長バルキース・ジャラは、国際司法裁判所の事件は個人の訴追ではなく、現在独自の捜査を行っている別の機関である国際刑事裁判所に直接関与していないと指摘した。 ジャラは、この訴訟は「イスラエルがパレスチナ人民に対してジェノサイドを行っているかどうかという問題について、明確で決定的な答えを与える」機会を与えていると述べた。

法学者らによると、南アフリカのイスラエルに対する仮保全措置の要請には、イスラエルが実際にジェノサイドを行ったかどうかの判断は求められておらず、代わりに条約に基づくパレスチナ人の権利が侵害されたことが「もっともらしい」との判断が求められているという。仮保全措置の付与に関する最近の判決は、公聴会から 2 週間から1か月かかった。この訴訟の最終判決には何年もかかる可能性があるとしている。

これとは別に、東エルサレムを含む占領下のパレスチナ領域におけるイスラエルの政策と慣行から生じる法的影響に関する拘束力のない勧告的意見を求める国連の要請に関して、公聴会が2024年2月に開始された。

2024年1月24日、国際司法裁判所は2024年1月26日に仮保全措置請求に対しする命令を発出するだろうと発表した。

2024年2月12日に南アフリカは同法廷に対し、ラファに対するイスラエルの軍事攻撃計画が「すでに大規模な殺戮、危害、破壊を引き起こしており、また今後さらなる大規模な殺戮、危害、破壊をもたらす」かどうかを検討するよう要請した。

南アフリカ政府の立場

南アフリカは、イスラエルがガザ地区でジェノサイドを定義し禁止した1948年のジェノサイド条約に違反してジェノサイド行為を行ったと非難している。南アフリカは、国連ジェノサイド条約の署名国としての「ジェノサイドを防止する義務」を発動して訴訟を起こした。南アフリカの法務チームには、ジョン・ドゥガード、アディラ・ハシム、テンベカ・ングクカイトビ、マックス・デュ・プレシス、チディソ・ラモガレ、サラ・プディフィン＝ジョーンズ、レラート・ジカララLerato Zikalala、ヴォーン・ロウ、ブリン・ニ・グラーレーが含まれる。南アフリカもまた、元副首席判事ディクガン・モセネケをアドホック裁判官に任命した。モセネケは、ロベン島に投獄されていた期間中に、反アパルトヘイト活動家であり、後に自身もパレスチナの大義の支持者となったネルソン・マンデラと出会い、友人となった。ジェレミー・コービンやジャン＝リュック・メランションなど、多くの国際政治家が南アフリカ代表団に加わる予定である。

同国の84ページにわたる要請書では、イスラエルの行為は「パレスチナ人の国民、人種、民族のかなりの部分を破壊することを目的としているため、ジェノサイド的な性格を持っている」と主張した。南アフリカは国際司法裁判所に対し、暫定的に（すなわち、申請の本案に関する審問の前に）拘束力のある法的命令を出し、イスラエルに「ガザ地区内およびガザ地区に対する軍事作戦を即時一時停止する」よう要求した。 」さらに、現職の南アフリカ大統領シリル・ラマポーザもイスラエルの行動をアパルトヘイトに喩えた。

提出書類には、「イスラエルによる作為と不作為は…広範なパレスチナ国民、人種、民族グループの一部としてガザ地区のパレスチナ人を破壊するという必要な特定の意図を持って犯されているため、ジェノサイドの性質がある」と述べられている。訴訟で申し立てられたジェノサイド行為には、ガザ地区でのパレスチナ人の大量殺害、住居の破壊、追放と強制避難、さらには地域への食糧、水、医療援助の封鎖が含まれていた。南アフリカは、イスラエルが妊婦とその乳児の生存に必要不可欠な医療サービスを破壊することでパレスチナ人の出生を阻止する措置を講じたと述べた。要請書には、これらの行為は「彼ら（パレスチナ人）を集団として破壊することを意図したもの」であると主張した。

行動の背後にあるジェノサイドの意図を立証することは非常に難しい課題であるが、南アフリカはイスラエル指導者の声明、例えばベンヤミン・ネタニヤフ首相が「アマレク人があなたたちにしたことを忘れるな」と、タナハ（ヘブライ語聖典）の中の古代イスラエル人によるアマレク人の完全な破壊を呼び起こし、イツハク・ヘルツォグ大統領の「責任があるのは国民全体だ。民間人が気づいていない、関与していないというレトリックは真実ではない。絶対に真実ではない。…彼らの背骨を折るまで戦う」という声明、ヨアヴ・ガラント国防大臣の「状況報告」においてイスラエルは「ガザを完全に包囲した。電気も食料も水も燃料も与えない。全てが閉鎖されている。我々は人間の動物と戦っておりそれに応じて行動している」という勧告、そして軍当局者や代議員の発言を引証し、これらの発言「の中で、そしてそれ自体、ガザのパレスチナ人を『そのような』集団として壊滅させるという明確な意図を示すものである」と強く主張した。提出文書はさらに、これらの発言はジェノサイドへの直接的かつ公的な扇動を構成しており、それらが「野放しにされ、処罰もされないまま」、代わりにジェノサイド行為が実践されていると主張し、この主張に対して現場のイスラエル兵のことを引証した

保護的仮保全措置の要請

南アフリカの要請書には、次の9つの保護的仮保全的措置が求められている。

Número	Resumen	Descripción completa
1	Suspensión de las operaciones militares	El Estado de Israel debe suspender inmediatamente sus operaciones militares en y contra Gaza.
2		El Estado de Israel debe asegurar que cualquier ejército o unidad armada irregular que sea dirigido, apoyado o influenciado por él, así como organizaciones y personas que sean sujetas a su control, dirección o influencia, se abstengan de tomar medidas que añadan a las operaciones militares del punto anterior (1).
3	Prevención del Genocidio	La República de Sudáfrica y el Estado de Israel cada uno, de acuerdo a sus obligaciones bajo la Convención para la Prevención y el Castigo del Crimen de Genocidio, en relación con la población Palestina, tome toda medida razonable en su poder para prevenir el genocidio.
4	Desistir de matar, herir, destruir vidas e impedir nacimientos.	El Estado de Israel deba, de acuerdo a sus obligaciones bajo la Convención para la Prevención y el Castigo del Crimen de Genocidio, en relación con la población Palestina como un grupo protegido por la Convención para la Prevención y el Castigo del Crimen de Genocidio, desistir de la comisión de alguno y todos los actos delimitados en el Artículo II de la Convención, específicamente: (a) asesinar miembros del grupo, (b) causar daños corporales o mentales serios a los miembros del grupo, (c) activamente buscar infligir en el grupo las condiciones de vida calculadas para provocar su destrucción física en totalidad o en parte, e (d) imponer las medidas necesarias para prevenir nacimientos entre el grupo.
5	Prevenir el desplazamiento, la privación y la destrucción de la vida.	El Estado de Israel deba, según el punto anterior (4)(c), en relación con la población Palestina, desistir de y tomar todas las medidas en su poder incluyendo la rescisión de órdenes relevantes, de la restricción y/o de las prohibiciones para prevenir: (a) la expulsión y el desplazamiento forzado de sus hogares; (b) la depravación de: (i) acceso a comida y agua; (ii) acceso a asistencia humanitaria, incluyendo acceso a niveles adecuados de combustible, refugio, ropa, higiene y sanidad; (iii) suministros médicos y asistencia; y (c) la destrucción de la vida palestina en Gaza.
6	Desistir de la incitación y castigar actos de incitación al genocidio.	El Estado de Israel debe, en relación con la población Palestina, asegurarse que su ejército, así como cualquier unidad armada irregular o individuo que dirija, que sea apoyado o de otra forma influenciado por él y toda organización y persona que pueda estar sujeta a su control, dirección o influencia, no cometa ningún acto descrito en (4) y (5) anterior, o participe en la incitación directa y pública a cometer genocidio, conspiración para cometer genocidio, intento de cometer genocidio, o complicidad de cometer genocidio, y en la medida que se dediquen a ello, que los pasos necesarios sean tomados hacia el castigo, en seguimiento de los Artículos I, II, III y IV de la Convención para la Prevención y el Castigo del Crimen de Genocidio.
7	Prevenir la destrucción de y asegurar la preservación de evidencia.	El Estado de Israel debe de tomar las acciones efectivas para prevenir la destrucción y asegurar la preservación de evidencia relacionada con las demandas de los actos dentro del alcance del artículo II de la Convención para la Prevención y el Castigo del Crimen de Genocidio; para ese fin, el Estado de Israel no debe de denegar o de otra forma restringir el acceso a las misiones de investigación, mandatos internacionales y otros cuerpos de Gaza que asistan a garantizar la preservación y retención de dicha evidencia.
8	Entregar informes a la corte de las medidas tomadas.	El Estado de Israel debe de entregar un reporte a la Corte de todas las medidas tomadas para dotar de efectos a esta orden en una semana, según la fecha de la Orden y después de eso por los intervalos regulares que la Corte ordene, hasta que una decisión final del caso sea tomada por la Corte.
9	Abstenerse de agravar la situación.	El Estado de Israel se abstenga de tomar cualquier acción y deba asegurar que ninguna acción sea tomada en la que se agrave o extienda la disputa ante la Corte o le haga más difícil de resolver.

関連項目

• 大量虐殺
• 民族浄化

外部リンク

• 裁判記録 - 国際司法裁判所の公式ウェブサイト（英語）
• 公聴会のビデオ - 国際司法裁判所の公式ウェブサイト（英語）
• ジェノサイド条約（集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約）の日本語訳 - ミネソタ大学人権図書館