デュエルガンダム

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アサルトシュラウドから転送)

デュエルガンダム (DUEL GUNDAM) は、テレビアニメ機動戦士ガンダムSEED』をはじめとするコズミック・イラ (C.E.) 作品に登場する架空の兵器。「ガンダムシリーズ」で主流となっている人型ロボット兵器モビルスーツ (MS) の1機で、作中勢力のひとつである「地球連合軍」が開発した5機の試作機のうち、もっとも初期に完成した汎用機。『SEED』の序盤で敵国家であるプラントの軍隊「ザフト」に強奪され、作戦に参加したパイロットのひとりイザーク・ジュールの搭乗機となる。唯一強奪を免れたストライクガンダムとの戦闘で損傷を受け、修理と並行してザフト製の装甲兼複合武装ユニットアサルトシュラウドを装着する。メディアや関連商品では「デュエルガンダム」と公称されるが、作中ではほかの同型機とともに固有名の「デュエル」(「決闘」)で呼ばれる。

メカニックデザイン大河原邦男

本項では、関連作品に登場する派生機についても解説する。

設定解説[編集]

諸元
デュエルガンダム
DUEL GUNDAM
型式番号 GAT-X102
全高 17.50m
重量 61.90t
103.47t(アサルトシュラウド装備時)
装甲材質 フェイズシフト装甲
動力源 バッテリー[1]
武装 75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン×2
175mmグレネードランチャー装備57mm高エネルギービームライフル×1
ビームサーベル×2
対ビームシールド×1
350mmレールバズーカ ゲイボルグ×1
特殊装備 アサルトシュラウド
(115mmレールガン シヴァ×1)
(220mm径5連装ミサイルポッド×1)
搭乗者 イザーク・ジュール

地球連合加盟国である大西洋連邦が、オーブ連合首長国公営企業モルゲンレーテ社技術協力を受けてオーブ管轄の資源コロニーヘリオポリス」で極秘開発した5機の試作型MS(G兵器 / 初期GAT-Xシリーズ)の1機[1][注 1]

シリーズの中でも最初に完成したMSであり[3]、軽量な機体の運動性や汎用性を生かした、対MS白兵戦を想定して開発された[1]。従来のザフト製MSではMAや戦艦といった兵器群を仮想敵としていたが、戦争序盤でザフトに大敗を喫した連合軍では当初から対MS戦を想定する必要性に迫られ、携行装備に実弾・実体剣を多く持つザフトMSへの対抗策としてGAT-Xシリーズでは実体兵器をほぼ無効化するフェイズシフト装甲(PS装甲)を導入された[4][注 2]

デュエルはすべてのGATシリーズの母体[5]とも言える機体で、ほかの4機は本機をもとに各々のコンセプトに特化して開発されている。これはフレームの共通化という後々の拡張用の規格統一と、能力面でコーディネイターに劣るナチュラルが機種転換を容易にできるよう操縦面にも配慮した措置でもある[6][注 3]。軽量を活かした高い運動性能と、ビームライフルビームサーベルを駆使した白兵戦を基本戦術とし、デュエルという機体名もこれに由来する[5]

シリーズ最初期に完成した本機は内外装機材との相性があまり練り込まれておらず、想定性能を充分に発揮できているとは言い難い。しかしMSとしては標準的なステータスを持ち、当時のザフト主力MSのジンをPS装甲・携行型ビーム兵器によって圧倒する[7][注 4]。その機体構造や兵装の構成から、連合製MSの基礎となった機体と言える[8]。本機の量産機として連合軍所属コーディネイター専用機ロングダガーを経てナチュラル用機体デュエルダガーが生産された。

機体構造[編集]

頭部
V字型のアンテナとツインアイを採用[8]。「ガンダムフェイス」と呼ばれる構成であり、2つのカメラアイを持ち索敵と視認性能に優れるものの、構造の複雑化から量産化には向かない[9][注 5]
頭部中央には、イタリア語で「1」を意味する「UNO」を加えた「UNO X-102」のナンバーが刻印されている。『SEED』シリーズのチーフメカ作画監督を務めた重田智はインタビューにおいて、初期の設定においてデュエルがガンダム1号機と呼称されていた際の名残であったためと説明している[10]。なお、設定上はMSを実用化させた技術者がイタリア系であったため、機体にイタリア語の刻印を施す慣習が連合にも伝わったとされている[11]
腕部
手首の規格は他の初期GAT-X5機と共通の物を用いる[12]
バックパック
本体と一体化されており、ビームサーベルを設置する[8]。スラスターの出力はエールストライカーよりも低い[3]

武装[編集]

75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン
ストライクと同様に頭部の眉間付近に2門内蔵している[8]
175mmグレネードランチャー装備57mm高エネルギービームライフル[注 6]
主兵装であるビーム火器。ジンを一撃で撃破する威力を持つ[8]。銃身下部にはグレネードが設置されており、これによって面攻撃も可能[13]。連合兵たちに評価され、のちに一定数が量産された[14]。非使用時は右腰へのマウントが可能。グレネードランチャーの方は劇中で後述の旗艦ドゥーリットルを破壊するのに使用された。
ビームサーベル
バックパックの上部両端に装備されている。ストライクのものと同型[3]
対ビームシールド
ストライクやアストレイのものと色違いの同型シールド。『SEED HDリマスター』第5話Bパートでは、グレネードランチャー発射シーンにて描き加えられており、トリガーを引く右腕側に装備し直しているようにも見える。
350mmレールバズーカ ゲイボルグ[注 7]
予備バッテリー搭載を兼ねて長大に設計した銃身を使い、砲弾を内部で電磁加速させて撃ち出すリニアキャノン[15]。そのため、バズーカと通称されるが弾体そのものには推進器を持たない[15]
デュエルが強奪されたことで本来の主を失い、ヘリオポリス崩壊の裏で起こっていた事件を経てゴールドフレームによって運用された。その後ヘリオポリス崩壊に伴い連合からは設計データが失われている。
『SEED』本編には未登場だが、ガンダムコレクションAdvanced MS IN ACTIONMGプラモデルにおいて手持ち武装として付属しているほか、後年に放送された『ガンダムビルドファイターズ』第10話では、アサルトシュラウドを含めて黒いカラーの本機のガンプラがこの武器を持っている描写がある。『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY Re:Master』のインタビューによれば、元々デュエルガンダムの初期設定時に用意していたデザインだったものをASTRAYに転用したものだとされる[17]
そのほかの武装
『SEED』最終話で借り受けたバスターの超高インパルス長射程狙撃ライフル、ストライクのビームライフル&シールドなど。一方、Advanced MS IN ACTIONの「デュエルガンダムアサルトシュラウド」には、ショートバレルライフルとスナイパーライフルというオリジナル武器が同梱されている。

デュエルガンダム アサルトシュラウド[編集]

ザフトが開発していた、第1世代MS用強化パーツである「アサルトシュラウド」をデュエル用に再設計し、装備した形態[18][注 8]。第11話で損傷したデュエルの修理と並行して特注・装備されたものであり、採用にはイザークの意向が汲み取られている[20][注 9]。「シュラウド」とは「死体を包む布」を意味する[13][注 10]

通常の部材で造られているものなのでPS装甲のような革新的堅牢性は無いが[13][20][注 11] 、バイタルパートに装甲が追加されているため、機体の防御力は向上している[8]。装甲厚自体は向上したため、それを生かした強襲戦能力も増強されている[20]。また、バックパックおよび脚部に追加された高出力スラスターによる宇宙戦での機動性と、それぞれの肩部に追加されたレールガンとミサイルによって火力を高められており、本装備は火力と推進力の向上を主眼に置いたユニットと言える[13]。同時に総重量が100トン近くにもなるため、重力下における活動は制限される[13]。なお、戦闘中でもパイロットの操作による任意の排除が可能[22]。大戦後期には地球軍が本機を参考として、同コンセプトの強化装甲「フォルテストラ」を開発した[8]

115mmレールガン シヴァ
アサルトシュラウド右肩部装甲に設置されたレールガン。速射性に優れ[8]、実体弾を電磁力で射出する装備[13]だが、プラズマの投射も可能[23]。非PS装甲のMSに対しては絶大な威力を発揮する装備[8]。名称はインド神話における破壊神・シヴァに由来する。
元々はジン用の追加武装として試験的にクルーゼ隊へ搬入されていた装備であるが、デュエルへ搭載された[24]。そのため、肩部から取り外して手持ちで使用することも可能[1]。採用には、ヘリオポリス襲撃時に奪取できなかったゲイボルグの機能補完も加味されている[22]。この装備は量産化も視野に入れられていたが、GAT-X強奪に伴うビーム兵器の導入によって見送られ、のちにフリーダムに搭載されるクスィフィアスの技術的な礎となった[24]
220mm径5連装ミサイルポッド
アサルトシュラウド左肩部装甲内に格納されたミサイルポッド。レールガンとミサイルポッドを併用した装備構成は、バスターを参考にしたものである[13]

劇中での活躍[編集]

ヘリオポリスを襲撃したザフト軍のクルーゼ隊によって奪われ、隊員の1人イザーク・ジュールの搭乗機となり、そのままヘリオポリスを脱出したアークエンジェルを追撃する。第5話でストライクによって破壊された腕は、強奪時に一緒に回収していた各機の予備パーツを使って修復される[25]。第12話からはジンなどの追加装備を用いて新造されたアサルトシュラウドを装着。同時に強奪された他の3機と共にアークエンジェルを追い詰めるが、そのたびにキラ・ヤマトの駆るストライクに妨害される。

低軌道会戦を経て地球に降下した後、再びアークエンジェルを追って北アフリカ戦線ではディアッカバスターと共にバルトフェルド隊に合流し、インド洋に出てマーシャル諸島ではアスラン・ザラを部隊長とする「ザラ隊」としてキラのストライクと交戦するが、連敗する。オーブ沖の戦闘でのニコルとの死別、アスランやディアッカとの離別の後もイザークの乗機としてクルーゼに随伴する。オペレーション・スピットブレイク発動後は連合本部アラスカJOSH-A(ジョシュア)侵攻作戦やパナマ攻略戦にも参加するが、作中でイザークとともにあまり描かれなかった。第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦を戦い抜き、後期GAT-Xシリーズ3機のうちフォビドゥンレイダーを撃墜する(スペシャルエディション完結編ではフォビドゥンのみ)。さらに連合軍の旗艦ドゥーリットルを撃沈し、プラント防衛に貢献する。レイダー撃墜後に左肩を破損された状態でフェイズシフトダウンを起こすが、中破したバスターと共にアークエンジェルに収容されて補給を受け、ストライク用のビームライフルとシールドを装備してアークエンジェルの近くを飛行しているシーンが最後の姿となる。

GAT-Xシリーズで唯一稼動状態で停戦を迎えるが、続編『DESTINY』には登場しなかったため、その後については長らく不明だったが、次の続編『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』でバスターと共に後述のデュエルブリッツガンダムライトニングバスターガンダムへと極秘裏に改修されていたことが判明する。

漫画『機動戦士ガンダムSEED Re:』では、上述のアサルトシュラウド以外にも大気圏内用の専用装備「ジェグス」が登場。空戦MSであるディンの飛行ユニットをベースにしたザフト版I.W.S.P.とも呼べる外観をしており、ディンの整流用エアロシェルが確認できる。

デュエルブリッツガンダム[編集]

諸元
デュエルブリッツガンダム
DUEL BLITZ GUNDAM[26][27]
型式番号 ZGMF-1027M[26]
全高 17.50m[27]
重量 71.08t[27]
装甲材質 ヴァリアブルフェイズシフト装甲
動力源 核エンジン[27]
武装 75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン×2
MA-M1600/D2 高エネルギービーム砲×1
AIM-627G 自立誘導中距離空対空ミサイルトーレンス×1
MA-M99E ビームサーベル マグナセクティオ×1
XM61 超高速運動体貫通弾 ランサーダートII×2
XM53S ピアサーロック グレイプニールII×1
搭乗者 イザーク・ジュール

C.E.75年を舞台とする『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に登場[26]

ユーリ・アマルフィエザリア・ジュールらが試験用に改修した機体。素体の形状はそのままにライトニングバスターと同型の核エンジンとザクウォーリアコックピットへと換装され、かつてのブリッツを彷彿とする新型のアサルトシュラウドが装着されている[27]

武装は従来の頭部イーゲルシュテルン、手持ち槍にもなる右腕の「XM61 超高速運動体貫通弾 ランサーダートII」2本、左腕のロケットアンカー「XM53S ピアサーロック グレイプニールII」、手持ちライフルにもなる右肩内蔵の「MA-M1600/D2 高エネルギービーム砲」、左肩内蔵の「MA-M99E ビームサーベル マグナセクティオ」と2連装ミサイルポッド「AIM-627G 自立誘導中距離空対空ミサイルトーレンス」。このほか、改修前の各武装も装備可能となっている[27]

ライトニングバスターとともに、廃棄されたボアズに置かれたクライン派の拠点に隠匿されていたが、ファウンデーションと共謀してクーデターを起こしたプラント国防委員長ハリ・ジャガンナート率いるザフト反乱軍鎮圧のためにイザークが久しぶりに搭乗する。戦闘ではエターナルに搭載されたミーティアとドッキングして事態の収拾にあたり、ジャガンナートの討伐を果たすとともにミレニアムの援護を行う。

監督の福田は当初、映画中に本機とライトニングバスターを登場させるとは考えていなかったが、制作担当の池谷浩臣が「古い機体の商品(ガンプラ)があると皆さん(ファン)が喜ぶのでは?」との意見を受けて登場させる決断をした旨を語っている[28]

ブルデュエル[編集]

諸元
ブルデュエル[29]
BLU DUEL
型式番号 GAT-X1022[30]
全高 16.89m[30]
重量 84.24t[30]
装甲材質 フェイズシフト装甲(フォルテストラ部ヴァリアブルフェイズシフト装甲[29]
動力源 バッテリー(パワーエクステンダー搭載[29]
武装 M2M5 トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器×2
Mk315 スティレット投擲噴進対装甲貫入弾×3
M443 スコルピオン機動レールガン
M7G2 リトラクタブルビームガン×2
ES05A ビームサーベル×2
対ビームシールド
搭乗者 ミューディー・ホルクロフト

アニメーション作品『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』に登場。

地球連合軍第81独立機動群「ファントムペイン」が、アクタイオン・インダストリー社を中心とした複数企業の技術協力を受けて推進したエースパイロット用カスタマイズMS開発計画、通称「アクタイオン・プロジェクト」にもとづき、再製造されたデュエルを改修した機体[29]。パイロットは「ファントムペイン」特殊戦MS小隊に所属する少尉ミューディー・ホルクロフト。機体名の「ブル」は、イタリア語で「青」を意味する。

僚機である汎用型のX105E ストライクノワール、砲戦型のX103AP ヴェルデバスターとの連携を想定し[31]、近接白兵戦闘を重視したカスタマイズが施されている。各部に配置された増加アーマー「フォルテストラ」[29]は、ロングダガーやデュエルダガーに採用された同名ユニットを再設計したもので、追加装備された強化スラスターや各種兵装によって機動力・攻撃力共に向上が成されている[30][注 12]。フォルテストラやザフトのアサルトシュラウドは着脱可能なボルトオン装着方式であったが、本機ではそれらを本体と直結された固定装備とすることで、電力供給の必要なVPS装甲化が全面的に果たされた[33]。同時に、フォルテストラは着脱不可とされている[34][注 13]。これにより、純粋な防御装甲としての機能が高められている[29]。同時に、装甲の採用部位には軽量化とともに可動域を損なわない配慮がなされ、原型機の持つ運動性を低下させないまま防御力の増強に成功した[29]。マニピュレーターは可動指を再構築しつつ、アクチュエーターを改良したモデルとなっている[34]

武装(ブル)[編集]

M2M5 トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器
ダガーL以降の連合系量産MSが標準装備する対空防御機関砲。口径はイーゲルシュテルンより縮小され、対人・対車両攻撃や弾数を重視している[30]。頭部に2門内蔵される。
Mk315 スティレット投擲噴進対装甲貫入弾
左肩部増加アーマーのラック内に格納される自推式の投擲兵器。ダガーLやウィンダムといった連合系量産MSに広く装備される[29][注 14]。劇中、ミューディーは使用時に3基を一度に引き抜き投擲する。
M443 スコルピオン機動レールガン
右肩シールド裏に装備された旋回式電磁レール砲塔。ユニバーサルマウントによって接続されているため、射角は広く保たれている[34]
M7G2 リトラクタブルビームガン
両前腕アーマーに一体化されたビームハンドガン。高い速射性能を持ち、機体特性上敵味方入り乱れる乱戦状態下での使用を想定している[30]。連射性能が高く[29]、即時に攻撃に転換できる強みを持つ[35]。使用時は格納されたバレル部を旋回させて射撃体勢を取るが、通常の銃と同様に掌でグリップを保持する。
ES05A ビームサーベル
両スネアーマー側部にマウントされる斬撃武装。ダガーLやウィンダムが装備するES04B ビームサーベルの改良型[29]で、信頼性と耐久性の向上が図られている[34]。設置位置が肩部から脚部側面に変更されている。
対ビームシールド
改修前と同一の装備だが、設置位置が右肩ユニバーサルマウントに変更され、独立可動が可能となった[34]

劇中での活躍(ブル)[編集]

ブレイク・ザ・ワールド事件後、キルギスプラントを襲撃したザフト軍の殲滅任務を受け、ストライクノワールやヴェルデバスターと共に急行し、これを鎮圧する。その後は西ユーラシア地方を進撃中のハンニバル級陸上戦艦ボナパルトの防衛任務に就き、迫り来るザフトのMS部隊を駆逐するが、背後よりバクゥの奇襲を受けてビームサーベルで右腕、シールド、レールガンを切断されたうえ、左足を撃ち抜かれて行動不能となる。最後は、3機のケルベロスバクゥハウンドのビームファングでコックピットをまるで食い殺されるかのように滅多刺しにされて大破し、パイロットのミューディーも戦死する。

レーゲンデュエル[編集]

諸元
レーゲンデュエル
REGEN DUEL
型式番号 LR-GAT-X102[16]
全高 18.16m[16]
重量 64.19t[16]
装甲材質 フェイズシフト装甲[36]
動力源 バッテリー[36]
武装 75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」×2

175mmグレネードランチャー装備57mm高エネルギービームライフル
115mmレールライフル「ルドラ」
ビームサーベル×2
対ビームシールド

搭乗者 カイト・マディガン

フォトストーリー、小説からなる外伝作品『機動戦士ガンダムSEED VS ASTRAY』から登場。

ライブラリアン」がデュエルを独自改修・再設計した機体。パイロットはカイト・マディガン。型式番号冒頭の「LR」は「ライブラリアン・レーゲン」の略で、「レーゲン」はドイツ語で「雨」を意味する[16]

レールガンやバズーカといった中・遠距離戦能力を付加し、状況に応じて装備をパージし戦う能力を強化されている[16]。そのため、基本戦術は、まずバズーカによる遠距離砲撃、続いて中距離戦をビームライフルとレールライフルで行い、ビームサーベルによって至近戦闘に移行するというものである[16]

また、機体各部には装甲やスラスターが増設されているが、アサルトシュラウドのように重量増を招かないよう最低限のものとし、白兵戦への移行時にパージする必要がなくなっている[16]。また、肩アーマーはゲイルストライクで培われた技術をフィードバックしつつ小型化し、大推力によって左右に機動することも可能となった[16]。足首は装備を戦闘中に使い捨てることによって発生する重量の変化に対応するため、調整機能が追加されている[16]。顔部は「GZ型」と呼ばれるタイプのものに変更されているが、これはカイトの嗜好から、自身のコレクション機体から流用したもの[16]。通常のデザインの物と性能面の差はない[16]

ライブラリアンの強化型Gは全機がストライカーシステムに対応しており[注 15]、本機もストライカーパック用背部プラグが追加されているため、バックパックはそれ自体をストライカーパック「バズーカストライカー」として着脱可能で、他の強化型Gに装着、または別のストライカーを装着することができる。

武装(レーゲン)[編集]

カイトは自分の乗機にはビームと実体弾を切り替えて撃てる専用銃を装備しているが、本機には例外的に装備されていない。

115mmレールライフル「ルドラ」
アサルトシュラウドに装備された115mmレールガン「シヴァ」を手持ち用の武装として改良したもの。手持ち用の武装となったことでより正確な射撃が可能だが、弾数が低下している[16]
「ルドラ」とは、「シヴァ」の別名。
バズーカストライカー
本機が標準装備する砲撃型ストライカー。設計にランチャーストライカーがベースとなっており、通常装備として350mmレールバズーカ「ゲイボルグ」が接続されるが、320mm超高インパルス砲「アグニ」の接続も可能。遠距離から近距離への戦闘移行時には切り捨てられるため、爆破による隠滅も可能[16]

劇中での活躍(レーゲン)[編集]

緒戦でアグニス・ブラーエターンデルタと交戦し、大破させる。その後、地上でグゥド・ヴェイアヴァンセイバーと共にイライジャ・キールイライジャ専用ザクファントムと交戦するが、ヴェイアがイライジャ専用ザクファントムを奪って逃走した際には追撃を放棄する。その後、プレアからの命令でザフトのジン部隊と交戦・撃破する。

ライブラリアン崩壊後はカイトのコレクションに加えられ、彼のパーソナルマークである赤縁の白十字がマーキングされる。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 初期GAT-X5体はデュエル(1号機)、バスター(2号機)、ブリッツ(3号機)、イージス(4号機)、ストライク(5号機)という順で開発された[2]
  2. ^ PS装甲は以降の地球連合やザフト(例外的にオーブのストライクルージュ)の「ガンダム」シリーズの標準的な装甲となった
  3. ^ この機構によって、GATシリーズは武装と装甲を新規に製作するだけで新型機を投入することも可能となった[6]
  4. ^ ただし、GAT-Xフレームには常に改良が加えられている[6]ため、同じ初期5体のX100系フレーム採用型最後発機であるX105 ストライクはより柔軟性・運動性が向上する結果となった[7]
  5. ^ CEにおいて「ガンダム」という俗称はキラ・ヤマトが呼び始めたものだが、その関係者から広がり、所属に関係なく同様の頭部構成を有する機体の俗称となっていった[9]
  6. ^ プラモデルキット『ビルダーズパーツ 1/144「システムウェポン010」』で収録された本装備では、銃身とセンサーを組み替えて長射程のロングライフルに改変できるギミックが追加されている。
  7. ^ 長らくは単に「デュエルガンダム専用バズーカ」などと表記されていた[15]が、『VS ASTRAY』に登場するレーゲンデュエルの装備品にて制式名称がつけられた[16]
  8. ^ 『SEED』の放送初期には「アサルトアーマー」と告知する媒体も存在した[19]
  9. ^ 年表においては第11話の戦闘がC.E.71年2月11日の出来事で、アサルトシュラウド装備機が初陣を飾った第12~13話の戦闘は同月13日となる[21]
  10. ^ 本装備は「強襲用屍衣」とも称される[20]
  11. ^ しかしながら、『HDリマスター』版第11話の第12話予告編においては格納庫における駐機時に、アサルトシュラウドがPS装甲のディアクティブモードのように退色する彩色ミスが発生している。第12話作中では、設定通りのカラーとなっている。
  12. ^ ブルデュエルは増設したスラスターによって飛行が可能とした資料もみられる[32]。一方で、アニメーション『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』作中においては、ヘリによって搬送される描写が確認できる。
  13. ^ ただし、フォルテストラを取り外したブルデュエルの素体の設定画も存在する[34]
  14. ^ ただし、デザインは新規のもの[35]
  15. ^ アストレイ ミラージュフレームは対応していない。

出典[編集]

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  27. ^ a b c d e f GFFA_DB_LB 2024.
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参考文献[編集]

  • 書籍
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    • 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年11月25日。ISBN 978-4-7580-1126-6 
    • 『機動戦士ガンダムSEED コズミック・イラ メカニック&ワールド』双葉社、2012年11月。ISBN 978-4-575-46469-6 
    • 『ホビージャパンMOOK 機動戦士ガンダムSEEDモデルVol.3 SEED MSV編』ホビージャパン、2004年5月。ISBN 4-89425-336-4 
    • 『ホビージャパンMOOK機動戦士ガンダムSEEDモデルVol.4 紅の炎編』ホビージャパン、2004年10月。ISBN 4-89425-347-X 
    • 『機動戦士ガンダムSEED OFIFICIAL FILE メカ編Vol.1』講談社、2003年2月。ISBN 4-06-334678-1 
    • 『機動戦士ガンダムSEED OFIFICIAL FILE メカ編Vol.2』講談社、2003年5月29日。ISBN 4-06-334725-7 
    • 『KCデラックス-1808 機動戦士ガンダムSEED OFIFICIAL FILE メカ編Vol.4』講談社、2003年11月。ISBN 4-06-334770-2 
    • 『データコレクション17 機動戦士ガンダムSEED 上巻』メディアワークス、2004年10月15日。ISBN 4-8402-2817-5 
    • 『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER コンプリートガイド』メディアワークス、2006年12月。ISBN 4-8402-3729-8 
    • 『公式ガイドブック 機動戦士ガンダムSEED 公式ガイドブック 運命の再会』角川書店、2003年2月。ISBN 4-04-853596-X 
    • 『ガンダムの常識 モビルスーツ大百科 機動戦士ガンダムSEED 連合・オーブ篇』双葉社、2011年11月。ISBN 978-4-575-30366-7 
  • 雑誌
    • 電撃ホビーマガジン
      • 『電撃ホビーマガジン 2002年9月号』メディアワークス。 
      • 『電撃ホビーマガジン 2002年11月号』メディアワークス。 
      • 『電撃ホビーマガジン 2003年1月号』メディアワークス。 
      • 『電撃ホビーマガジン 2004年12月・2005年1月合併号』メディアワークス。 
      • 『電撃ホビーマガジン 2005年2月号』メディアワークス。 
    • ホビージャパン
      • 『月刊ホビージャパン 2003年2月号』ホビージャパン。 
  • コミックス
    • ときた洸一『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY Re:Master Edition 5』角川書店、2013年7月。ISBN 978-4-04-120791-8 
  • 小説
    • 後藤リウ『小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(下)』KADOKAWA、2024年3月26日。ISBN 978-4-04-114805-1 
  • 分冊百科
    • 『週刊ガンダム ファクト・ファイル 第127号』デアゴスティーニ・ジャパン、2007年4月3日。 
    • 『週刊ガンダム パーフェクト・ファイル 第64号』デアゴスティーニ・ジャパン、2012年12月25日。 
  • ガンプラ付属解説文(バンダイBANDAI SPIRITS

関連項目[編集]