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*本来ならプレイヤー側が負ける、または倒せないはずの[[ボスキャラクター]]を倒す。
*本来ならプレイヤー側が負ける、または倒せないはずの[[ボスキャラクター]]を倒す。


=== ムアタッ(TA) ===
=== シーケンスブレイク ===
通常通りにプレイすると、あるルートからアイテムを取って関連するルートをとおって・・、と順路に応じたプレイになるが、あるアイテムを集めつつ操作を工夫し順路からはずれたルートをとおってクリアすることができる。これをシーケンスブレイクという。
シーケンスブレイクできる個所を探すのも一種のやりこみで、これは下記のタイムアタックにも応用できる。

=== (リアル)タイムアタック(TA)・スピードラン ===
ゲーム内表記の時間でクリアまでの時間を競う。元々は[[モータースポーツ]]のレースの用語で、コンピュータゲームにおけるこのような用法はそれが転じた[[和製英語]]である。本来の英語では'''[[:en:Speedrun|speedrun]]'''(スピードラン)と呼ぶ。最近ではソフト自体に「タイムアタックモード」「タイムトライアルモード」や、タイムアタック専用のステージなどが組み込まれているものもある。[[レースゲーム]]では、本編中に出てくるコースを1台で走行しベストレコードを目指すためだけのモード(英語では'''[[:en:Time trial|Time trial]]'''(タイムトライアル)とも呼ぶ)が存在する場合もある。
ゲーム内表記の時間でクリアまでの時間を競う。元々は[[モータースポーツ]]のレースの用語で、コンピュータゲームにおけるこのような用法はそれが転じた[[和製英語]]である。本来の英語では'''[[:en:Speedrun|speedrun]]'''(スピードラン)と呼ぶ。最近ではソフト自体に「タイムアタックモード」「タイムトライアルモード」や、タイムアタック専用のステージなどが組み込まれているものもある。[[レースゲーム]]では、本編中に出てくるコースを1台で走行しベストレコードを目指すためだけのモード(英語では'''[[:en:Time trial|Time trial]]'''(タイムトライアル)とも呼ぶ)が存在する場合もある。


RPGやアクションゲームなどでは、ゲームクリア(または、[[ボスキャラクター|最終ボス]]直前のセーブデータ)までのプレイ時間の短さを競うことが「タイムアタック」と呼ばれる場合が多い。
RPGやアクションゲームなどでは、ゲームクリア(または、[[ボスキャラクター|最終ボス]]直前のセーブデータ)までのプレイ時間の短さを競うことが「タイムアタック」と呼ばれる場合が多い。なお、目標別に競うケースもあり、例えばアイテム回収率○パーセントで、○○時間ごとにエンディングが変化する、といった具合などがある([[メトロイドシリーズ]])。これは、下記のRTAでの目標基準ごとのレギュレーションが定められることもある

これとは別に、演出等の操作不能時間は計測しない、セーブ・リセット等で巻き戻せる「'''ゲーム内時間'''('''InGameTime''')」ではなく、プレイ開始(電源投入もしくはゲームモード選択後など)からゲームクリア(基準はゲームによってまちまち)までのミスやリセットを含めた実時間で競うものは「'''リアルタイムアタック'''(RTA)」と呼ばれ、前者とは区別される。計測範囲は多少変わることもあるが、主にプレイ時間が表示されないゲームでTAの代わりとして、自らストップウォッチなどを用いて行われていた。この言葉自体は2000年に「極限攻略研究会」が創り出し、以降は『[[ドラゴンクエストシリーズ]]』などのやり込みを主に発展した。現在は[[ニコニコ動画]]や[[Twitch]]、[[YouTube]]などの動画配信サイトで多くのRTA配信を見ることが出来る。海外では[[:en:Speed Demos Archive|Speed Demos Archive]]というコミュニティが存在し、毎年ホリデーシーズンとサマーシーズンの2回、RTAをもとにしたGamesDoneQuickと呼ばれるチャリティーイベントを行っており、2015年1月のイベントでは150万ドル以上もの寄付を集めている。


なお、映像記録、ならびに配信においては、それらの処理でプレイ中の画面表示に遅延(実質的なタイムロス)が発生することを防ぐため、前述の機材とは別にやりこみ用のモニターを用意し、映像出力を分配することも多い。また、クリアまであまりに長期になるものでは、レギュレーション次第ではあるが、一定回数・時間の休憩(計測一時停止)を認めているものもある。
これとは別に、ゲーム内時間(InGameTime)ではなく、プレイ開始(電源投入)からゲームクリア(基準はゲームによってまちまち)までのミスやリセットを含めた実時間で競うものは「'''リアルタイムアタック'''(RTA)」と呼ばれ、前者とは区別される。計測範囲は多少変わることもあるが、主にプレイ時間が表示されないゲームでTAの代わりとして、自らストップウォッチなどを用いて行われていた。この言葉自体は2000年に「極限攻略研究会」が創り出し、以降は『[[ドラゴンクエストシリーズ]]』などのやり込みを主に発展した。現在は[[ニコニコ動画]]や[[Twitch]]、[[YouTube]]などの動画配信サイトで多くのRTA配信を見ることが出来る。海外では[[:en:Speed Demos Archive|Speed Demos Archive]]というコミュニティが存在し、毎年ホリデーシーズンとサマーシーズンの2回、RTAをもとにしたGamesDoneQuickと呼ばれるチャリティーイベントを行っており、2015年1月のイベントでは150万ドル以上もの寄付を集めている。


ドラゴンクエストシリーズなどのRPGでタイムアタックに挑戦しようとすれば必然的にキャラクターのレベルや装備は最低限のものになる。ここではタイムの短縮とプレイの安定はトレードオフ関係にある。記録を追求するTAプレイヤーはアイテムの場所、モンスターのステータス、最適なパーティー構成、ルート、プログラム内の乱数など当該ゲームに関するあらゆる事象を理解する必要がある。その中にはいわゆるバグ技も含まれるが、バグ技の使用で記録が認められるかどうかはそれぞれのRTAコミュニティーのルールによるところである(バグあり/なしで別々に記録する場合もある)。RTAの成熟によって新たな時間短縮テクニックが見出され、記録の大幅更新が起こることもある(『[[DARK SOULS]]』における弓と火炎壷を用いた混沌の苗床ショートカットなど)。
ドラゴンクエストシリーズなどのRPGでタイムアタックに挑戦しようとすれば必然的にキャラクターのレベルや装備は最低限のものになる。ここではタイムの短縮とプレイの安定はトレードオフ関係にある。記録を追求するTAプレイヤーはアイテムの場所、モンスターのステータス、最適なパーティー構成、ルート、プログラム内の乱数など当該ゲームに関するあらゆる事象を理解する必要がある。その中にはいわゆるバグ技も含まれるが、バグ技の使用で記録が認められるかどうかはそれぞれのRTAコミュニティーのルールによるところである(バグあり/なしで別々に記録する場合もある)。RTAの成熟によって新たな時間短縮テクニックが見出され、記録の大幅更新が起こることもある(『[[DARK SOULS]]』における弓と火炎壷を用いた混沌の苗床ショートカットなど)。


===TAS===
===TAS===
実機ではなくエミュレータを使用したタイムアタック・スピードランの略称。
{{See|ツールアシステッドスピードラン}}
{{See|ツールアシステッドスピードラン}}



2019年2月23日 (土) 04:49時点における版

やり込み(やりこみ)とは、コンピュータゲームにおいて、普通にクリアする(終了させる)目的から外れ、ある分野を徹底的に極めることである。

やり込み要素は公式としてゲームソフト内に用意される場合や、Xbox Live実績PlayStationトロフィーといった形で共有化されることもある。

やり込みの例

やり込みの例には、次のようなものがある(なお、チートバグなどを用いてはならないものとする場合が多い)。

一定の結果を出すと報酬がもらえることもある。

ハイスコアアタック

  • 可能な限り高い得点(ハイスコア)でクリアする(期間や場所を限定して競うこともある)。
  • 可能な限り短いタイムでカウンターストップ(スコアの上限到達)する。
  • スコアアタックモードで可能な限り高い得点を出す。
  • 対戦型格闘ゲームなどで、対人戦の勝ち抜き数を競う。
  • エンディングの無いループゲームで、ループの限界点まで到達する。

ノーミス

  • RPGで遭遇した敵キャラクターから一切逃げずに戦い抜く。
  • やられても復活ができる機能を使わないでクリアする。
  • (特殊イベントや強制イベントを除き)ダメージを一度も受けずにクリアする(ノーダメージクリア)。

コンプリート (コンプ)

  • ゲーム内に存在するアイテム、キャラクター、技能など、収集対象となるものを可能な限り全て集める。また、その全てを限界の数値まで集める。コンプリート内容を具体的にして「○○コンプ」と称する場合もある。
  • マルチエンディングのゲームで、全種類のエンディングを見る。
  • クリアに不要な要素(ミニゲームなど)や、すべての隠し要素(隠しステージ、特殊イベントなど)、全実績項目を制覇する。
  • キャラクターごとに能力が異なるゲームを、全てのキャラクターでクリアする。

ノーキル、敵全滅

  • 倒すことのできる敵を全て倒してクリアする。普通なら無視するような敵でも、倒せるなら寄り道してでも倒す。
  • 倒すことのできる敵を全て倒さずにクリアする。「不殺」「無血」「パシフィスト」などとも言われる。

制限プレイor縛りプレイ

あえてプレイヤーに不利な条件を課すよう「特定の制限」を加えて、限界までプレイする。特定のアイテムや技術、キャラクターなどの使用を自主的に禁止するプレイは「○○封印」のように表現されることもある。

  • レベル、経験値、能力値、ヒットポイントなどのステイタスを可能な限り低くしたままクリアする。
  • シューティングやアクションゲームなどで極力スコアを取らないようにクリアする(ロースコアアタック)。
  • 最初から最後まで、1人のキャラクターのみを使用してクリアする(一人旅)。
  • 使い勝手が悪いとされるキャラクターやアイテムのみ使用、または使い勝手の良いキャラクターやアイテムを一切使用せずクリアする。
  • 最初から最後まで、武器や防具を何も装備させずに(外せないなら初期装備や特殊な装備のみで)クリアする。
  • 相手のスタートから一定時間経過後にスタートする(レースゲーム等で)。
  • 悪天候(シミュレーションゲーム等で)
  • 途中でセーブ(データの保存)を一度もせずにクリアする。
  • 通算エンカウント、ターン数などを最小限に抑えてクリアする。
  • 特定の操作ボタンを使わずにクリアする。
  • その他、通常のプレイでは行わないような変則プレイなど。

RPGなどでのやり込み

RPG(ロールプレイングゲーム)などでは、上記に加えて、次に挙げるようなやり込み方法がある。

キャラクター強化、コンプリート

ゲームの煽り文句などで「やり込み要素が多い」と表現される場合、主にこちらを指すことが多い。MMORPGにおけるやり込みもこの部類に入る。

  • キャラクターを可能な限り仲間に加え、さらに経験値レベルを最高値まで上げる。
  • ステータスを上げるアイテムを使い、限界までステータスを高める。武器や防具を合成や改良などで極限まで強化する。
  • キャラクターメイキングのあるゲームでは、クリア後も多種多彩なキャラクターを作り、育てる。
  • 最大ダメージ量に挑戦する(1ターンでの最高ダメージ、理論上可能な合計ダメージなど)。

ストーリー無視

  • 攻略に重要となる行動やアイテムなどを使うことなくクリアする。また逆に、ある特定の行動やアイテム以外を一切使わない。
  • 本来ならプレイヤー側が負ける、または倒せないはずのボスキャラクターを倒す。

シーケンスブレイク

通常通りにプレイすると、あるルートからアイテムを取って関連するルートをとおって・・、と順路に応じたプレイになるが、あるアイテムを集めつつ操作を工夫し順路からはずれたルートをとおってクリアすることができる。これをシーケンスブレイクという。 シーケンスブレイクできる個所を探すのも一種のやりこみで、これは下記のタイムアタックにも応用できる。

(リアル)タイムアタック(TA)・スピードラン

ゲーム内表記の時間でクリアまでの時間を競う。元々はモータースポーツのレースの用語で、コンピュータゲームにおけるこのような用法はそれが転じた和製英語である。本来の英語ではspeedrun(スピードラン)と呼ぶ。最近ではソフト自体に「タイムアタックモード」「タイムトライアルモード」や、タイムアタック専用のステージなどが組み込まれているものもある。レースゲームでは、本編中に出てくるコースを1台で走行しベストレコードを目指すためだけのモード(英語ではTime trial(タイムトライアル)とも呼ぶ)が存在する場合もある。

RPGやアクションゲームなどでは、ゲームクリア(または、最終ボス直前のセーブデータ)までのプレイ時間の短さを競うことが「タイムアタック」と呼ばれる場合が多い。なお、目標別に競うケースもあり、例えばアイテム回収率○パーセントで、○○時間ごとにエンディングが変化する、といった具合などがある(メトロイドシリーズ)。これは、下記のRTAでの目標基準ごとのレギュレーションが定められることもある。

これとは別に、演出等の操作不能時間は計測しない、セーブ・リセット等で巻き戻せる「ゲーム内時間InGameTime)」ではなく、プレイ開始(電源投入もしくはゲームモード選択後など)からゲームクリア(基準はゲームによってまちまち)までのミスやリセットを含めた実時間で競うものは「リアルタイムアタック(RTA)」と呼ばれ、前者とは区別される。計測範囲は多少変わることもあるが、主にプレイ時間が表示されないゲームでTAの代わりとして、自らストップウォッチなどを用いて行われていた。この言葉自体は2000年に「極限攻略研究会」が創り出し、以降は『ドラゴンクエストシリーズ』などのやり込みを主に発展した。現在はニコニコ動画TwitchYouTubeなどの動画配信サイトで多くのRTA配信を見ることが出来る。海外ではSpeed Demos Archiveというコミュニティが存在し、毎年ホリデーシーズンとサマーシーズンの2回、RTAをもとにしたGamesDoneQuickと呼ばれるチャリティーイベントを行っており、2015年1月のイベントでは150万ドル以上もの寄付を集めている。

なお、映像記録、ならびに配信においては、それらの処理でプレイ中の画面表示に遅延(実質的なタイムロス)が発生することを防ぐため、前述の機材とは別にやりこみ用のモニターを用意し、映像出力を分配することも多い。また、クリアまであまりに長期になるものでは、レギュレーション次第ではあるが、一定回数・時間の休憩(計測一時停止)を認めているものもある。

ドラゴンクエストシリーズなどのRPGでタイムアタックに挑戦しようとすれば必然的にキャラクターのレベルや装備は最低限のものになる。ここではタイムの短縮とプレイの安定はトレードオフ関係にある。記録を追求するTAプレイヤーはアイテムの場所、モンスターのステータス、最適なパーティー構成、ルート、プログラム内の乱数など当該ゲームに関するあらゆる事象を理解する必要がある。その中にはいわゆるバグ技も含まれるが、バグ技の使用で記録が認められるかどうかはそれぞれのRTAコミュニティーのルールによるところである(バグあり/なしで別々に記録する場合もある)。RTAの成熟によって新たな時間短縮テクニックが見出され、記録の大幅更新が起こることもある(『DARK SOULS』における弓と火炎壷を用いた混沌の苗床ショートカットなど)。

TAS

実機ではなくエミュレータを使用したタイムアタック・スピードランの略称。

その他

  • 2人同時プレイ可能なゲームで、操作デバイス2つを一人で操作する(ダブルプレイ)。
  • 画面全体、あるいは一部を隠してプレイする。音楽ゲームなどで譜面を画面に表示させずにプレイする。
  • 音楽ゲームなどでプラス評価の中でも最低の判定のみでクリアする(ALL GOODプレイなど)。
  • 特定のゲーム専用のコントローラを使ってプレイする。
  • ステージエディット機能で他人が投稿したステージをクリアする(『みすてぃっく☆ばる〜ん』『スーパーマリオメーカー』など)。

雑誌や書籍への掲載、ビデオへの収録

ファミ通』などのゲーム雑誌が読者からやりこみを募集し、投稿されたやり込みを特集し掲載することがある。さらにこれらのプレイから厳選してビデオやDVDなどに収録し販売している。ゲーム攻略本では、ライター自らがそのゲームのやり込みを掲載することも多い。

いずれのケースにおいても、深刻なネタバレ(隠しボスなど)を含むやり込みは公表されないか、大部分が伏せられる例が多い。

『ファミ通』では「やりこみゲーム大賞」という応募企画が幾度も開催されている(第1回の結果発表は『ファミコン通信』1992年2月7日号掲載)。

関連項目

外部リンク