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DoveWithOlive (会話 | 投稿記録) →国連総会正式加盟決議: パレスチナ国を承認しているのにも関わらず反対票を投じた国々についてと、米国の反対票の説明を追加しました。 |
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=== 国連総会正式加盟決議 === |
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2024年5月10日、[[アラブ首長国連邦]] (UAE) が、パレスチナ国の国連正式加盟を支持し安保理に加盟勧告を賛成するよう再考を促す決議案を[[国際連合総会|国連総会]]に提出し、193加盟国のうち、賛成143カ国、反対9カ国の圧倒的多数で採択された。棄権は25カ国だった。決議案にはパレスチナが国連憲章の定める加盟資格を満たしていると明記されており、パレスチナ国を国家承認していない、日本、[[フランス]]、[[大韓民国|韓国]]、[[スペイン]]、[[オーストラリア]]、[[エストニア]]、そして[[ノルウェー]]の7カ国も賛成票を投じた。反対はアメリカ合衆国、イスラエル、[[アルゼンチン]]、[[チェコ]]、[[ハンガリー]]、ミクロネシア連邦、ナウル、[[パラオ]]、そして[[パプアニューギニア]]であった<ref name="時事通信20240510">{{Cite web |title=パレスチナ加盟を支持 決議採択、日本など143カ国賛成―国連総会:時事ドットコム |url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2024051100019&g=int |website=時事ドットコム |date=2024-05-11 |access-date=2024-05-10 |language=ja |first=時事通信 |last=外信部}}</ref><ref name="Reuters20240510">{{Cite web |url=https://www.reuters.com/world/middle-east/un-general-assembly-set-back-palestinian-bid-membership-2024-05-10/ |title=UN General Assembly backs Palestinian bid for membership |access-date=2024-5-11 |publisher=[[ロイター通信]] |date=2024-5-10 |language=en |last=Nichols |first=Michelle}}</ref><ref name="APNews20240510">{{Cite web |title=UN assembly approves resolution granting Palestine new rights and reviving its UN membership bid |url=https://apnews.com/article/un-resolution-palestinians-membership-rights-us-assembly-875560e897f27d6600090420f36404e4 |website=AP News |date=2024-05-10 |access-date=2024-05-10 |language=en}}</ref>。 |
2024年5月10日、[[アラブ首長国連邦]] (UAE) が、パレスチナ国の国連正式加盟を支持し安保理に加盟勧告を賛成するよう再考を促す決議案を[[国際連合総会|国連総会]]に提出し、193加盟国のうち、賛成143カ国、反対9カ国の圧倒的多数で採択された。棄権は25カ国だった。決議案にはパレスチナが国連憲章の定める加盟資格を満たしていると明記されており、パレスチナ国を国家承認していない、日本、[[フランス]]、[[大韓民国|韓国]]、[[スペイン]]、[[オーストラリア]]、[[エストニア]]、そして[[ノルウェー]]の7カ国も賛成票を投じた。反対はアメリカ合衆国、イスラエル、[[アルゼンチン]]、[[チェコ]]、[[ハンガリー]]、ミクロネシア連邦、ナウル、[[パラオ]]、そして[[パプアニューギニア]]であった<ref name="時事通信20240510">{{Cite web |title=パレスチナ加盟を支持 決議採択、日本など143カ国賛成―国連総会:時事ドットコム |url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2024051100019&g=int |website=時事ドットコム |date=2024-05-11 |access-date=2024-05-10 |language=ja |first=時事通信 |last=外信部}}</ref><ref name="Reuters20240510">{{Cite web |url=https://www.reuters.com/world/middle-east/un-general-assembly-set-back-palestinian-bid-membership-2024-05-10/ |title=UN General Assembly backs Palestinian bid for membership |access-date=2024-5-11 |publisher=[[ロイター通信]] |date=2024-5-10 |language=en |last=Nichols |first=Michelle}}</ref><ref name="APNews20240510">{{Cite web |title=UN assembly approves resolution granting Palestine new rights and reviving its UN membership bid |url=https://apnews.com/article/un-resolution-palestinians-membership-rights-us-assembly-875560e897f27d6600090420f36404e4 |website=AP News |date=2024-05-10 |access-date=2024-05-10 |language=en}}</ref>。アルゼンチン、チェコ、ハンガリー、パプアニューギニアは、パレスチナを国家承認しているにも関わらず、反対にまわっており<ref name="Newsweek20240510">{{Cite web |title=Full list of countries who voted to give Palestine new UN power |url=https://www.newsweek.com/full-list-countries-voted-give-palestine-un-power-1899399 |website=Newsweek |date=2024-05-10 |access-date=2024-05-11 |language=en |first=Mandy Taheri Weekend |last=Reporter}}</ref>、そのうちチェコは、国連正式加盟や国連の新たな特権のみでは平和と繁栄をもたらすことはできないと述べ、その前に二国間での協議などによる環境の下地整備の必要があると訴え、また安保理の加盟勧告の無いまま国連の手続きを「迂回して」総会の採決を行ったことに懸念を示し、反対票を投じたと説明した<ref name="Czechia">{{Cite web |title=Statement of Czechia on the UN resolution regarding the situation in Gaza - Explanation of Vote |url=https://mzv.gov.cz/jnp/en/issues_and_press/mfa_statements/statement_of_czechia_on_the_un.html |website=mzv.gov.cz |access-date=2024-05-12 |language=en |publisher=[[{{!}}チェコチェコ共和国政府]]}}</ref>。 |
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[[主要国首脳会議|G7国]]においては、前述の通り日本とフランスが賛成にまわったほか、[[イギリス]]、[[ドイツ]]、[[カナダ]]、[[イタリア]]が棄権し、アメリカ合衆国の孤立が一層顕著になる形になった<ref name="Newsweek20240510" /><ref name="Guardian20240510">{{Cite news |title=UN general assembly votes to back Palestinian bid for membership |url=https://www.theguardian.com/world/article/2024/may/10/un-support-palestine-membership |work=The Guardian |date=2024-05-10 |access-date=2024-05-11 |issn=0261-3077 |language=en-GB |first=Julian |last=Borger |first2=Lorenzo |last2=Tondo}}</ref>。国連総会は、パレスチナの国家としての存在を長らく支持して来たが、実際に正式加盟の是非について採決が取られたのはこれが初めてであった<ref name="NYTimes20240510">{{Cite news |title=U.N. General Assembly Adopts Resolution in Support of Palestinian Statehood |url=https://www.nytimes.com/2024/05/10/world/middleeast/un-resolution-palestinian.html |work=The New York Times |date=2024-05-10 |access-date=2024-05-11 |issn=0362-4331 |language=en-US |first=Farnaz |last=Fassihi}}</ref>。 |
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⚫ | 安保理と違い、総会では拒否権が発動できないので、[[拒否権#国際連合安全保障理事会における拒否権|拒否権]]を持つアメリカ合衆国が反対票を投じても決議は可決された。国連の正式加盟には、安保理による加盟勧告と、総会において投票国の3分の2以上の賛成が必要となるが、4月18日にアメリカ合衆国の拒否権行使によって加盟勧告案を否決した安保理に、協議を「差し戻す」形となった<ref name="Reuters20240510" /><ref name="APNews20240510" />。しかし、アメリカ合衆国の{{仮リンク|ロバート・ウッド (外交官)|en|Robert A. Wood|label=ロバート・ウッド}}国連次席大使は、安保理で再度加盟勧告案を採決したとしても結果は同じになると述べ、拒否権を発動し続けることを示唆した<ref name="NYTimes20240510" />。 |
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⚫ | 安保理と違い、総会では拒否権が発動できないので、[[拒否権#国際連合安全保障理事会における拒否権|拒否権]]を持つアメリカ合衆国が反対票を投じても決議は可決された。国連の正式加盟には、安保理による加盟勧告と、総会において投票国の3分の2以上の賛成が必要となるが、4月18日にアメリカ合衆国の拒否権行使によって加盟勧告案を否決した安保理に、協議を「差し戻す」形となった<ref name="Reuters20240510" /><ref name="APNews20240510" />。しかし、アメリカ合衆国の{{仮リンク|ロバート・ウッド (外交官)|en|Robert A. Wood|label=ロバート・ウッド}}国連次席大使は、安保理で再度加盟勧告案を採決したとしても結果は同じになると述べ、拒否権を発動し続けることを示唆した<ref name="NYTimes20240510" /><ref name="時事通信20240512">{{Cite web |title=パレスチナ加盟「再検討」要求 総会決議採択で米苦境―国連:時事ドットコム |url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2024051100355&g=int |website=時事ドットコム |date=2024-05-12 |access-date=2024-05-12 |language=ja |first=時事通信 |last=外信部}}</ref>。またその反対理由は、従来通りのアメリカ合衆国の立場である、パレスチナの加盟は「イスラエルとの直接交渉」によってのみ実現されると主張した<ref name="時事通信20240512" />。 |
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⚫ | また決議案によって、パレスチナ国は国連総会において席が与えられ、パレスチナや中東以外の議題にも発言権が与えられたほか、会議の議題提案や議論に対して返答、そして国連の主要委員会において委員を送ることが可能になり、かつパレスチナ人の[[民族自決|自決権]]を支持する内容だったが、投票権は与えられなかった<ref name="Reuters20240510" /><ref name="APNews20240510" />。アメリカ合衆国には1990年に成立した、国連がパレスチナ{{Refnest|実際の文言は、パレスチナではなく、[[パレスチナ解放機構]]に同等の地位を与えた場合となっており、この法が[[パレスチナ自治政府]]にも適用されるかについては議論の余地があるとされている<ref name="FOX20240508" />。|group=注}}に加盟国と同じ地位を与えた場合、国連と国連機関への資金提供を停止するという[[アメリカ法|連邦法]]があり、国連最大の分担金及び拠出金提供国であるアメリカ合衆国のその法を発動させないよう、決議案は細心の注意を |
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⚫ | また決議案によって、パレスチナ国は国連総会において席が与えられ、パレスチナや中東以外の議題にも発言権が与えられたほか、会議の議題提案や議論に対して返答、そして国連の主要委員会において委員を送ることが可能になり、かつパレスチナ人の[[民族自決|自決権]]を支持する内容だったが、投票権は与えられなかった<ref name="Reuters20240510" /><ref name="APNews20240510" />。アメリカ合衆国には1990年に成立した、国連がパレスチナ{{Refnest|実際の文言は、パレスチナではなく、[[パレスチナ解放機構]]に同等の地位を与えた場合となっており、この法が[[パレスチナ自治政府]]にも適用されるかについては議論の余地があるとされている<ref name="FOX20240508" />。|group=注}}に加盟国と同じ地位を与えた場合、国連と国連機関への資金提供を停止するという[[アメリカ法|連邦法]]があり、国連最大の分担金及び拠出金提供国であるアメリカ合衆国のその法を発動させないよう、決議案は細心の注意を払って文面が練られた<ref name="Guardian20240510" /><ref name="FOX20240508">{{Cite web |title=US law could force Biden to pull UN funding if Palestinian recognition bypass succeeds, experts say |url=https://www.foxnews.com/world/us-law-could-force-biden-pull-un-funding-palestinian-recognition-bypass-succeeds-experts-say |website=Fox News |date=2024-05-08 |access-date=2024-05-11 |language=en-US |first=Peter |last=Aitken}}</ref>。 |
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=== 国家承認している国 === |
=== 国家承認している国 === |
2024年5月12日 (日) 18:01時点における版
- パレスチナ国
- دولة فلسطين
-
(国旗) (国章) - 国の標語:不明
- 国歌:فدائي(アラビア語)
革命者 -
公用語 アラビア語 首都 東エルサレム (名目上)
ラマッラー(事実上)最大の都市 ガザ - 政府
-
大統領 マフムード・アッバース 首相 ムハンマド・ムスタファ - 面積
-
総計 6,020km2(164位)[1] 水面積率 3.5% - 人口
-
総計(2022年) 5,354,656人(119位)[1] 人口密度 889.5人/km2 - GDP(自国通貨表示)
-
合計(xxxx年) xxx,xxx新シェケル - GDP(MER)
-
合計(2021年) 180億3680万ドル(125位)[2] 1人あたり 3,664[3]ドル - GDP(PPP)
-
合計(2021年) 305億1834万ドル(145位)[4] 1人あたり 6,199.5[5]ドル - 独立宣言
-
独立宣言 1988年11月15日 オスロ合意 1993年8月20日 パレスチナ自治政府成立 1994年 国連総会オブザーバー 2012年11月29日 パレスチナ問題 未解決[備考 1]
通貨 新シェケル(ILS)など[備考 2] 時間帯 UTC+2 (DST:+3) ISO 3166-1 PS / PSE ccTLD .ps 国際電話番号 970 - [備考 1]
パレスチナ国(パレスチナこく、アラビア語: دولة فلسطين Dawlat Filasṭīn, ダウラト・フィラスティーン、英: State of Palestine)は、地中海東部のパレスチナに位置する共和制国家。国際連合(UN)には未加盟であるが、2024年5月10日時点で、193の国連加盟国の内、143か国が国家として承認している[6][7][8][9][10]。
領土は自治政府(ファタハ政権)が実効支配するヨルダン川西岸地区およびガザ政府(ハマス政権)が実効支配するガザ地区(パレスチナ領域)から成り、東エルサレムを首都として定めている[11]、パレスチナ自治政府により実際に支配されているのは西岸地区の一部にとどまり[12]、首都機能はラマッラーが担っている。
歴史
1988年11月15日に初代大統領のヤーセル・アラファートがパレスチナの独立宣言を発表し、パレスチナ国を国号として定めた。1993年にパレスチナ自治政府が発足して、長らくイスラエルに占拠されていたパレスチナでパレスチナ人による実効支配が始まった。2012年11月にはそれまでの組織としてではなく、国家として国際連合総会オブザーバーとして承認された。
政治
地方行政区画
パレスチナ国はヨルダン川西岸地区とガザ地区から成る。ガザ地区の面積は365km²で全体の6%程度しかないが、人口は全体の38%を占める。ヨルダン川西岸地区はパレスチナ自治政府の様々な機関が置かれており、首都がある。
西岸地区の総面積は5,660km²であり、以下に区分けされている。
- A地区
- パレスチナ政府が行政権など全てを握っている。面積は西岸地区のうち18%の約1,018km²である。
- B地区
- C地区
- イスラエル軍が行政権など全てを握っている。面積は西岸地区の61%で約3,452km²である。
また、西岸地区のイスラエル軍管轄地域はユダヤ・サマリア地区と言われている。
パレスチナ国は領有を主張する国土に16の県(ガザ地区に5、ヨルダン川西岸地区に11)を設置している。ただしイスラエルの実効支配下にある地域を含んでいるため、ヨルダン川西岸地区の県の多くの地域が統治下にはない。
主要都市
国際関係
2024年5月10日時点で、国際連合加盟国(193か国)中、143か国が国家承認している[6][7]。安保理常任理事国ではロシアと中国が承認し、上海協力機構(SCO)加盟国およびアラブ連盟加盟国は全てが承認、アフリカ連合はカメルーンとエリトリア以外の全て、東南アジア諸国連合(ASEAN)はシンガポール、ミャンマーを除く8か国が、それぞれ承認している。
対して承認していない国連加盟国は50か国である。安保理常任理事国であるアメリカ合衆国、イギリス、フランスの3か国に日本、カナダ、ドイツ、イタリアを加えたG7諸国はすべて承認していない。北大西洋条約機構(NATO)加盟国でみると、トルコ、アイスランドの他に旧東側諸国(チェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、アルバニア)が東側陣営時代の1988年、モンテネグロがNATO非加盟時の2006年に承認しているだけでそれ以外はすべて承認していない。欧州連合(EU)加盟国では上記の旧東側諸国とスウェーデン(2014年承認)、欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国ではアイスランド(2011年承認)以外は全て承認していない。当事国であるイスラエルも未承認である。しかし、2024年5月には、NATO国である、スペイン、アイルランド、スロべニアが近日中に承認予定であることが伝えられた[13]。
ただし、2012年のパレスチナ国のオブザーバー格上げ決議では、非承認国家でも賛成した国もある(得票数:19/67)。例えば日本は「将来の承認を予定した自治区」としてパレスチナ国を扱っており、経済支援や議員外交などを行っている[注 1]。
国連との関係
パレスチナ国は、国際連合機関のうち、国際連合総会(総会)と国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の活動に参加している。
1974年、パレスチナ解放機構(PLO)が国際連合総会オブザーバーの団体として認めれられ、国連での活動を開始。第1次インティファーダ最中の1988年に団体名称を「パレスチナ」へと変更した。その後、2012年には「パレスチナ国」としてオブザーバー国家に格上げされ、国連非加盟国として事実上国家承認されている[14]。国連総会では、毎年のようにパレスチナ人の民族自決権を確認する決議が提出されている。パレスチナ国を国家承認していない国々も、明確な反対はイスラエル・アメリカ合衆国及び一部の親米国に限られる。直近の2023年12月19日の決議では、日本を含む172ヶ国の賛成で採択された[15](反対はイスラエル、ナウル、ミクロネシア連邦、アメリカ合衆国の4ヶ国。棄権はカメルーンなど10ヶ国、欠席はアフガニスタン[注 2]など7ヶ国)。
また、国連の専門機関のうち、ユネスコには2011年に「パレスチナ国」として正式加盟が承認されている。加盟には14か国が反対したが、そのうちイスラエル・アメリカ合衆国は加盟に対する対抗措置として2018年にユネスコを脱退した(但しアメリカは2023年に復帰)。
2024年4月18日、アルジェリアがパレスチナ国の国連正式加盟勧告案を安保理に提出したが、アメリカ合衆国の拒否権で否決された(賛成12(日本など)、反対1(米国)、棄権2(イギリス、スイス))[16][17]。
国連総会正式加盟決議
2024年5月10日、アラブ首長国連邦 (UAE) が、パレスチナ国の国連正式加盟を支持し安保理に加盟勧告を賛成するよう再考を促す決議案を国連総会に提出し、193加盟国のうち、賛成143カ国、反対9カ国の圧倒的多数で採択された。棄権は25カ国だった。決議案にはパレスチナが国連憲章の定める加盟資格を満たしていると明記されており、パレスチナ国を国家承認していない、日本、フランス、韓国、スペイン、オーストラリア、エストニア、そしてノルウェーの7カ国も賛成票を投じた。反対はアメリカ合衆国、イスラエル、アルゼンチン、チェコ、ハンガリー、ミクロネシア連邦、ナウル、パラオ、そしてパプアニューギニアであった[18][19][20]。アルゼンチン、チェコ、ハンガリー、パプアニューギニアは、パレスチナを国家承認しているにも関わらず、反対にまわっており[21]、そのうちチェコは、国連正式加盟や国連の新たな特権のみでは平和と繁栄をもたらすことはできないと述べ、その前に二国間での協議などによる環境の下地整備の必要があると訴え、また安保理の加盟勧告の無いまま国連の手続きを「迂回して」総会の採決を行ったことに懸念を示し、反対票を投じたと説明した[22]。
G7国においては、前述の通り日本とフランスが賛成にまわったほか、イギリス、ドイツ、カナダ、イタリアが棄権し、アメリカ合衆国の孤立が一層顕著になる形になった[21][23]。国連総会は、パレスチナの国家としての存在を長らく支持して来たが、実際に正式加盟の是非について採決が取られたのはこれが初めてであった[24]。
安保理と違い、総会では拒否権が発動できないので、拒否権を持つアメリカ合衆国が反対票を投じても決議は可決された。国連の正式加盟には、安保理による加盟勧告と、総会において投票国の3分の2以上の賛成が必要となるが、4月18日にアメリカ合衆国の拒否権行使によって加盟勧告案を否決した安保理に、協議を「差し戻す」形となった[19][20]。しかし、アメリカ合衆国のロバート・ウッド国連次席大使は、安保理で再度加盟勧告案を採決したとしても結果は同じになると述べ、拒否権を発動し続けることを示唆した[24][25]。またその反対理由は、従来通りのアメリカ合衆国の立場である、パレスチナの加盟は「イスラエルとの直接交渉」によってのみ実現されると主張した[25]。
また決議案によって、パレスチナ国は国連総会において席が与えられ、パレスチナや中東以外の議題にも発言権が与えられたほか、会議の議題提案や議論に対して返答、そして国連の主要委員会において委員を送ることが可能になり、かつパレスチナ人の自決権を支持する内容だったが、投票権は与えられなかった[19][20]。アメリカ合衆国には1990年に成立した、国連がパレスチナ[注 3]に加盟国と同じ地位を与えた場合、国連と国連機関への資金提供を停止するという連邦法があり、国連最大の分担金及び拠出金提供国であるアメリカ合衆国のその法を発動させないよう、決議案は細心の注意を払って文面が練られた[23][26]。
国家承認している国
国連加盟国
この承認国の中で唯一、チェコのみが2012年のオブザーバー格上げ決議で反対している。一覧は承認順に並んでいる。
- アルジェリア
- バーレーン
- イラク
- クウェート
- リビア
- マレーシア
- モーリタニア
- モロッコ
- ソマリア
- チュニジア
- トルコ●
- イエメン
- アフガニスタン
- バングラデシュ
- キューバ
- インドネシア
- ヨルダン
- マダガスカル
- マルタ
- ニカラグア
- パキスタン
- カタール
- サウジアラビア
- アラブ首長国連邦
- セルビア
- ザンビア
- アルバニア●
- ブルネイ
- ジブチ
- モーリシャス
- スーダン
- キプロス
- チェコ●◎
- スロバキア●◎
- エジプト
- ガンビア
- インド
- ナイジェリア
- ロシア
- セーシェル
- スリランカ
- ベラルーシ
- ギニア
- ナミビア
- ウクライナ
- ベトナム
- 中国
- ブルキナファソ
- コモロ連合
- ギニアビサウ
- マリ
- カンボジア
- モンゴル
- セネガル
- ハンガリー●◎
- カーボベルデ
- 朝鮮民主主義人民共和国
- ニジェール
- ルーマニア●◎
- タンザニア
- ブルガリア●◎
- モルディブ
- ガーナ
- トーゴ
- ジンバブエ
- チャド
- ラオス
- シエラレオネ
- ウガンダ
- コンゴ共和国
- アンゴラ
- モザンビーク
- サントメ・プリンシペ
- コンゴ民主共和国
- ガボン
- オマーン
- ポーランド●◎
- ボツワナ
- ネパール
- ブルンジ
- 中央アフリカ
- ブータン
- ルワンダ
- エチオピア
- イラン
- ベナン
- 赤道ギニア
- ケニア
- バヌアツ
- フィリピン
- エスワティニ
- カザフスタン
- アゼルバイジャン
- トルクメニスタン
- ジョージア
- ボスニア・ヘルツェゴビナ
- タジキスタン
- ウズベキスタン
- パプアニューギニア
- 南アフリカ共和国
- キルギス
- マラウイ
- 東ティモール
- パラグアイ
- モンテネグロ●
- コスタリカ
- レバノン
- コートジボワール
- ベネズエラ
- ドミニカ共和国
- ブラジル
- アルゼンチン
- ボリビア
- エクアドル
- チリ
- ガイアナ
- ペルー
- スリナム
- ウルグアイ
- レソト
- シリア
- リベリア
- エルサルバドル
- ホンジュラス
- セントビンセント・グレナディーン
- ベリーズ
- ドミニカ国
- 南スーダン
- アンティグア・バーブーダ
- グレナダ
- アイスランド●
- タイ
- グアテマラ
- ハイチ
- スウェーデン◎
- セントルシア
- コロンビア
- セントクリストファー・ネイビス
- メキシコ[27]
- バルバドス[8]
- ジャマイカ[8]
- トリニダード・トバゴ[9]
- バハマ[10]
国連非加盟国
- サハラ・アラブ民主共和国(但しパレスチナはサハラ・アラブ民主共和国を承認していない)
- バチカン
国家を承認していない国
国連加盟国
- イスラエル
- アメリカ合衆国★●
- カナダ★●
- 日本★
- イギリス★●
- ドイツ★●◎
- フランス★●◎
- イタリア★●◎
- ノルウェー●
- デンマーク●◎
- フィンランド●◎
- オランダ●◎
- ベルギー ●◎
- スペイン●◎
- ポルトガル●◎
- スイス
- ギリシャ●◎
- アイルランド◎
- オーストリア◎
- アンドラ
- リヒテンシュタイン
- ルクセンブルク●◎
- モナコ
- サンマリノ
- クロアチア●◎
- スロベニア●◎
- 北マケドニア●
- エストニア●◎
- ラトビア●◎
- リトアニア●◎
- モルドバ
- アルメニア
- 韓国
- シンガポール
- ミャンマー
- パナマ
- カメルーン
- エリトリア
- オーストラリア
- ニュージーランド
- フィジー
- マーシャル諸島
- ミクロネシア
- パラオ
- ナウル
- キリバス
- サモア
- トンガ
- ツバル
- ソロモン諸島
国連非加盟国
国連総会オブザーバー
日本との関係
国民
人口構成
2023年時点で約548万人(西岸地区:約325万人、ガザ地区:約222万人)であり、アラブ人が大半を占める。また、国連パレスチナ難民救済事業機関 (UNRWA) によると2021年時点でパレスチナ難民が約639万人(西岸108万人、ガザ164万人、ヨルダン246万人、シリア65万人、レバノン54万人)となる[28]。
言語
宗教
イスラム教徒が9割以上(約92%)と多数を占める。次いでキリスト教が約7%で続く。
軍事
1995年の自治合意後にパレスチナ警察が設置されたが、2000年のイスラエルとの軍事衝突により壊滅的な打撃を受けた。2005年にファタハ出身で大統領に就任したマフムード・アッバースは、国内の治安機関を内務庁・総合諜報局・保安隊の3機関に統合した。一方で、2007年に成立したガザ政府では別に治安部隊が設置された。2017年10月、ガザ政府を率いるハマースは保有する行政権限をパレスチナ国政府に委譲することで合意した[29]。
治安
人権
文化
パレスチナ人の文化は、パレスチナの歴史的地域に存在してきた多様な文化や宗教の影響を受けている。パレスチナの文化的および言語的遺産は、アラビアの要素と、何千年にもわたってこの土地とその人々を支配するようになった外国文化の両方が融合したものである。
芸術、文学、音楽、衣装、料理の分野への文化的貢献は、パレスチナ領土のパレスチナ人、イスラエルのパレスチナ国民、ディアスポラのパレスチナ人の間で地理的に分離しているにもかかわらず、パレスチナ人のアイデンティティを表現している。
パレスチナ文化は、食べ物、踊り、伝説、歴史、ことわざ、ジョーク、俗信、習慣で構成されており、パレスチナ文化の伝統(口頭伝承を含む)を構成している。ニムル・シルハン、ムーサ・アルーシュ、サリム・ムバイイドなどのパレスチナ知識人の間での民俗学者の復活は、イスラム以前の文化的ルーツを強調した。
食文化
パレスチナの料理は、パレスチナ地域に定住した文明の文化の拡散であり、特にアラブのウマイヤ朝の征服に始まり、最終的にはペルシアの影響を受けたアッバース朝、そしてトルコ料理の強い影響で終わるイスラム時代中およびその後に、その結果として生まれた。オスマン帝国の到来。レバノン料理、シリア料理、ヨルダン料理など、レバント料理に似ている。
世界遺産
祝祭日
スポーツ
サッカー
パレスチナ国内ではサッカーが最も人気のスポーツとなっており、2010年にプロリーグのウェストバンク・プレミアリーグが創設された。シャバーブ・アル・ハリールSCがリーグ最多7度の優勝を達成している。パレスチナサッカー協会(PFA)によって構成されるサッカーパレスチナ代表は、これまでFIFAワールドカップには未出場であるが、AFCアジアカップには2015大会、2019大会、2023年大会と3度の出場経験をもつ。
著名な出身者
脚注
備考
- ^ a b パレスチナを巡る諸問題は未解決のため、「パレスチナ国」を完全な主権国家と呼ぶかは議論がある[要出典]。
- ^ 1994年パリ議定書第4条によると、パレスチナは複数の通貨を採用できるようになっている。新シェケルに加えヨルダン川西岸地区ではヨルダン・ディナール、ガザ地区ではエジプト・ポンドが主に使用される。
注釈
出典
- ^ a b “Main Statistical Indicators in the West Bank and Gaza Strip”. パレスチナ中央統計局. 2020年10月25日閲覧。
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- ^ “パレスチナ基礎データ”. 外務省. 2023年11月17日閲覧。
- ^ ハマス、ガザ地区の行政権限移譲 自治政府と合意 毎日新聞、2017年10月13日
関連項目
外部リンク
- 駐日パレスチナ常駐総代表部(公式サイト)(英語) - 日本政府はパレスチナ自治政府の常駐総代表部として承認しているが、非公式に「駐日パレスチナ国大使館」と名乗ることもある。
- 対パレスチナ日本代表事務所 (アラビア語)
- パレスチナ国家承認 特設ウェブサイト(公式サイト)(日本語)