ドミニク・エガーター

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ドミニク・エガーター
2014年
国籍 スイスの旗スイス
生年月日 (1990-09-30) 1990年9月30日(33歳)
ロールバッハ
現在のチーム GYTR GRTヤマハ・ワールドSBKチーム
ゼッケン 77
ウェブサイト www.domi77.com
レースでの経歴
ロードレース世界選手権 Moto2クラス
活動期間2010年2020年
マニファクチャラー
チャンピオン0
2020年 順位28位 (4 pts)
出走回数 勝利数 表彰台 PP FL 総ポイント
168 1 7 1 1 903
ロードレース世界選手権 MotoEクラス
活動期間2020年2021年
マニファクチャラーエネルジカ
チャンピオン0
2021年 順位2位 (93 pts)
出走回数 勝利数 表彰台 PP FL 総ポイント
14 2 8 1 2 190
ロードレース世界選手権 125ccクラス
活動期間2006年2009年
マニファクチャラー
チャンピオン0
2009年 順位13位 (70.5 pts)
出走回数 勝利数 表彰台 PP FL 総ポイント
52 0 0 0 0 122.5
スーパーバイク世界選手権
活動期間2023年
マニファクチャラーヤマハ
2023年 順位8位 (163 pts)
出走回数 勝利数 表彰台 PP FL 総ポイント
36 0 2 0 1 163
スーパースポーツ世界選手権
活動期間2021年
マニファクチャラーヤマハ
チャンピオン1 (2021年)
2021年 順位1位 (417 pts)
出走回数 勝利数 表彰台 PP FL 総ポイント
21 10 16 4 8 417

ドミニク・エガーター[1]Dominique Aegerter1990年9月30日 - )は、スイス・ロールバッハ出身のオートバイレーサー。2022年のMotoE2021年2022年スーパースポーツ世界選手権チャンピオン。

経歴[編集]

キャリア初期[編集]

5歳のときからモトクロスレースを始める[2]。その後ロードレースに転向し、2003年にはドイツADACプロ・ジュニアカップ(125cc)でシリーズランキング7位を記録した[3]

2004年にはドイツロードレース選手権(IDM)125ccクラスにステップアップを果たし、初年度はシリーズ15位、2005年はシリーズ9位、2006年にはシリーズ2位と成績を伸ばしていった[3]

ロードレース世界選手権125ccクラス[編集]

ロードレース世界選手権125ccクラスには、2006年シーズンの終盤にマルチメディア・レーシングより同郷のヴァンサン・ブライヤールの代役として2戦に出場したのがデビューとなった。

2007年より同チームよりフル参戦を開始した。ラファエレ・デ・ロサシモーネ・グロツキーをチームメイトに戦ったこの年は、ウェットレースとなった第15戦日本GPで11位に入ったのがベストリザルトとなり、シリーズランキング23位を記録した。

2008年にはアジョ・モータースポーツに移籍、チームメイトはこの年のチャンピオンとなるマイク・ディ・メッリオだった。ディ・メッリオがファクトリー仕様デルビRSA125を駆った一方、エガーターに与えられたのはカスタマー仕様のRSW125だったが、3度8位に入ったのがベストリザルトとなり、シリーズ16位と成績を伸ばした。

2009年もアジョに残留。チームメイトにサンドロ・コルテセを迎え、このシーズンは2人ともにRSA125が与えられた。エガーターはウェットレースとなった第4戦フランスGPでベストリザルトの6位を記録、全レースを完走する安定度を見せてシリーズ13位に入った。

Moto2クラス[編集]

2010年 イギリスGP

2010年シーズン、エガーターは250ccクラス後継のMoto2クラスに、テクノマグCIPチームから富沢祥也のチームメイトとしてデビューを果たした。全17戦中16戦で完走、うち12戦でポイントを獲得し、シリーズランキング15位で中量級初年度を終えた。第12戦サンマリノGPでは富沢の事故死という悲劇がチームに訪れたが、エガーターは次戦の第13戦アラゴンGPでシーズン自己ベストの7位に入賞する健闘を見せた。終盤にはスタートの強さを見せ(第16戦オーストラリアGPの14台抜き、第15戦マレーシアGPの8台抜きなど)、後方のグリッドからポイント圏内へ進出するレースも多かった。

2011年もチームに残留し、クラス2年目のシーズンを迎える。チームメイトは前年度末から富沢の後任となった、トルコのケナン・ソフォーグルが務めた[4]。シーズン序盤は積極的に上位を走行するソフォーグルと比較するとやや速さでは劣ったが、エガーター自身も第3戦ポルトガルGPで4位に入るなど着実に結果を残していった。最終戦バレンシアGPではレースを通して表彰台争いを演じ続け、自身グランプリ初の表彰台となる3位を獲得。このシーズン、エガーターは17戦中16戦で完走する高い安定感を見せ、シリーズランキングは8位に進出した。

2012年もチームに残留。チームメイトはソフォーグルに代わり、ロベルト・ロルフォ(後に小山知良)が務めた。クラス3年目を迎えたこのシーズンは、いわゆる中堅層としてのポジションを確立させ、昨年以上の安定感を発揮した。エガーターはこのシーズン、クラスにおいて唯一全レースを完走したライダーとなり、17戦中16戦でポイントを獲得、シリーズランキングも昨年に続き8位に入った。

2013年もチームに残留し、クラス4年目のシーズンを迎える。チームメイトは同じスイス人ライダーのランディ・クルメナッハが務めることとなった。

2019年は、MVアグスタ・アイデアラボロ・フォワードから参戦。全戦に出場したが、目覚ましい成績を上げることなくシーズンランキング22位で終えた。

2020年はNTS・RSレーシング・GPに移籍し、MotoEクラスと並行して参戦した。Moto2クラスでは、相変わらず成績が伸び悩んでいたが、MotoEでは、前年チャンピオンだったマッテオ・フェラーリと互角にランキング争いを繰り広げ、シーズンランキング3位で有終の美を飾った。

スーパースポーツ世界選手権[編集]

2021年スーパースポーツ世界選手権にテン・ケイト・ヤマハから参戦し、YZF-R6を駆って王座を獲得した。

エピソード[編集]

  • 世界選手権にデビューしてから、長髪がトレードマークとなっていたが、「表彰台を獲得した暁には、断髪式を行いたい」と宣言していた。2011年のバレンシアGPで望みが叶い表彰台に上がると、公約通りにパルクフェルメ内にて、断髪式が行われた。また同GPでは、2位に入っていたミカ・カリオと表彰台のポジションが逆になってしまうハプニングが起きた(エガーターの出身国であるスイス国旗とカリオの出身国であるフィンランド国旗が、互いのポジションと逆の所に掲げられてしまっていたため)。
  • Moto2クラスにおける連続ポイント獲得記録を保持しており、現在も記録の更新を続けている(2013年シーズン第17戦終了時点)。また、2011年のカタルニアGP以降リタイアがなく、連続完走の記録は40戦に到達した。
  • 連続ポイント獲得記録更新がかかるレースが続く中、2013年の第17戦日本GPでは、オープニングラップに発生した多重クラッシュの混乱の中で、エガーターも他者に接触され転倒。レース自体は前述の多重クラッシュで赤旗中断となり、マシンのダメージも少なかったものの、エガーターは転倒の際に肩を脱臼していた。だが再スタートまでの時間に、マシンの修復とメディカルセンターでの肩の修復を済ませ、再出走に成功。レギュレーションにより最後尾の33番手スタートとなったにもかかわらず、果敢な追い上げで8位まで挽回、記録の継続更新に成功した。

戦績[編集]

ロードレース世界選手権[編集]

シーズン クラス チーム バイク 出走 優勝 表彰台 PP FL ポイント シリーズ順位
2006年 125cc イタリアの旗 マルチメディア・レーシング アプリリア 2 0 0 0 0 0 -
2007年 125cc イタリアの旗 マルチメディア・レーシング アプリリア 17 0 0 0 0 7 23位
2008年 125cc フィンランドの旗 アジョ・モータースポーツ デルビ 17 0 0 0 0 45 16位
2009年 125cc フィンランドの旗 アジョ・インターウェッテン デルビ 16 0 0 0 0 70.5 13位
2010年 Moto2 フランスの旗 テクノマグCIP スッター 17 0 0 0 0 74 15位
2011年 Moto2 フランスの旗 テクノマグCIP スッター 17 0 1 0 0 94 8位
2012年 Moto2 フランスの旗 テクノマグCIP スッター 17 0 0 0 0 110 8位
2013年 Moto2 フランスの旗 テクノマグ・カーエキスパート スッター 17 0 1 0 0 158 5位
2014年 Moto2 フランスの旗 テクノマグ・カーエキスパート スッター 18 1 4 1 1 172 5位
2015年 Moto2 フランスの旗 テクノマグ・レーシング・インターウェッテン カレックス・エンジニアリング 14 0 1 0 0 62 17th
2016年 Moto2 CarXpert Interwetten 12 0 0 0 0 71 12位
2017年 Moto2 Kiefer Racing スッター 17 0 0 0 0 88 12位
2018年 Moto2 Kiefer Racing KTM 16 0 0 0 0 47 17位
2019年 Moto2 スイスの旗 MVアグスタ・テンポラリー・フォワード MVアグスタ 19 0 0 0 0 19 22位
2020年 MotoE ドイツの旗 ダイナボルト・インタクトGP エネルジカ・エゴ・コルサ 7 2 4 2 1 97 3位
Moto2 オランダの旗 NTS RW Racing GP NTS 4 0 0 0 0 4 28位
2021年 MotoE ドイツの旗 ダイナボルト・インタクトGP エネルジカ・エゴ・コルサ 7 0 4 0 1 93 2位
2022年 MotoE 12 3 9 2 2 227 1位
合計 244 6 24 4 5 1409.5
  • 凡例
  • ボールド体のレースはポールポジション、イタリック体のレースはファステストラップを記録。
クラス マシン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 順位 ポイント
2006年 125cc Aprilia SPA QAT TUR CHN FRA ITA CAT NED GBR GER CZE MAL AUS JPN POR
26
VAL
29
NC 0
2007年 125cc Aprilia QAT
20
SPA
19
TUR
24
CHN
21
FRA
20
ITA
15
CAT
15
GBR
Ret
NED
28
GER
21
CZE
29
RSM
23
POR
Ret
JPN
11
AUS
19
MAL
Ret
VAL
18
23rd 7
2008年 125cc Derbi QAT
17
SPA
8
POR
12
CHN
17
FRA
23
ITA
24
CAT
12
GBR
19
NED
16
GER
10
CZE
14
RSM
8
INP
11
JPN
19
AUS
Ret
MAL
8
VAL
Ret
16th 45
2009年 125cc Derbi QAT
11
JPN
9
SPA
9
FRA
6
ITA
19
CAT
20
NED
13
GER
9
GBR
8
CZE
18
INP
10
RSM
15
POR
8
AUS
12
MAL
14
VAL
11
13th 70.5
2010年 Moto2 Suter QAT
11
SPA
13
FRA
30
ITA
16
GBR
9
NED
18
CAT
Ret
GER
8
CZE
16
INP
11
RSM
8
ARA
7
JPN
12
MAL
8
AUS
13
POR
9
VAL
9
15th 74
2011年 Moto2 Suter QAT
13
SPA
28
POR
4
FRA
8
CAT
Ret
GBR
20
NED
18
ITA
11
GER
12
CZE
8
INP
12
RSM
13
ARA
9
JPN
8
AUS
12
MAL
5
VAL
3
8th 94
2012年 Moto2 Suter QAT
18
SPA
8
POR
12
FRA
14
CAT
7
GBR
9
NED
7
GER
10
ITA
8
INP
7
CZE
14
RSM
6
ARA
14
JPN
10
MAL
8
AUS
4
VAL
5
8th 114
2013年 Moto2 Suter QAT
4
AME
4
SPA
8
FRA
4
ITA
10
CAT
8
NED
3
GER
9
INP
5
CZE
13
GBR
5
RSM
5
ARA
13
MAL
5
AUS
6
JPN
8
VAL
10
5th 158
2014年 Moto2 Suter QAT
Ret
AME
3
ARG
4
SPA
2
FRA
7
ITA
5
CAT
14
NED
21
GER
1
INP
3
CZE
5
GBR
21
RSM
6
ARA
6
JPN
18
AUS
8
MAL
5
VAL
6
5th 172
2015年 Moto2 Kalex QAT
15
AME
18
ARG
13
SPA
16
FRA
10
ITA
3
CAT
9
NED
12
GER
10
INP
4
CZE
13
GBR
13
RSM
24
ARA
Ret
JPN AUS MAL VAL
WD
17th 62
2016年 Moto2 Kalex QAT
5
ARG
5
AME
4
SPA
8
FRA
13
ITA
10
CAT
Ret
NED
9
GER
10
AUT
10
CZE
17
GBR RSM ARA
22
JPN AUS MAL VAL 12th 71
2017年 Moto2 Suter QAT
11
ARG
14
AME
5
SPA
7
FRA
6
ITA
7
CAT
16
NED
12
GER
Ret
CZE
Ret
AUT
9
GBR
10
RSM
DSQ
ARA
12
JPN
9
AUS
8
MAL
WD
VAL
10
12th 88
2018年 Moto2 KTM QAT
15
ARG
8
AME
9
SPA FRA ITA
12
CAT
20
NED
14
GER
14
CZE
17
AUT
17
GBR
C
RSM
13
ARA
21
THA
16
JPN
13
AUS
6
MAL
14
VAL
11
17th 47
2019年 Moto2 MVアグスタ QAT
18
ARG
20
AME
14
SPA
13
FRA
Ret
ITA
17
CAT
16
NED
9
GER
20
CZE
21
AUT
17
GBR
18
RSM
18
ARA
19
THA
16
JPN
14
AUS
27
MAL
15
VAL
12
22nd 19
2020年 MotoE Energica SPA
3
ANC
1
RSM
3
EMI1
1
EMI2
16
FRA1
14
FRA2
4
3rd 97
Moto2 NTS QAT SPA ANC CZE
21
AUT
12
STY
Ret
RSM EMI CAT FRA ARA TER EUR VAL
20
28th 4
2021年 MotoE Energica SPA
2
FRA
4
CAT
2
NED
18
AUT
3
RSM1
2
RSM2
12
2位 93
2022年 MotoE Energica SPA1
2
SPA2
4
FRA1
2
FRA2
1
ITA1
1
ITA2
2
NED1
1
NED2
2double-dagger
AUT1
2
AUT2
3
RSM1
2
RSM2
4
1位 227

double-daggerオランダグランプリの決勝レース2は、3周以上を完了し、かつ規定周回数の3分の2を満たせなかったためハーフポイントととなった。

スーパーバイク世界選手権[編集]

シーズン クラス チーム バイク 出走 優勝 表彰台 PP FL ポイント シリーズ順位
2023年 SBK ヤマハ・YZF-R1 GYTR GRTヤマハ・ワールドSBKチーム 36 0 2 0 1 163 8位
合計 36 0 2 0 1 163

(太字はポールポジション、斜字はファステスト・ラップ)

バイク 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 順位 ポイント
R1 SR R2 R1 SR R2 R1 SR R2 R1 SR R2 R1 SR R2 R1 SR R2 R1 SR R2 R1 SR R2 R1 SR R2 R1 SR R2 R1 SR R2 R1 SR R2
2023年 ヤマハ AUS
13
AUS
Ret
AUS
7
INA
8
INA
10
INA
12
NED
6
NED
7
NED
4
SPA
5
SPA
6
SPA
8
ITA
6
ITA
21
ITA
11
GBR
12
GBR
11
GBR
11
ITA
Ret
ITA
14
ITA
12
CZE
8
CZE
11
CZE
11
FRA
11
FRA
6
FRA
Ret
SPA
16
SPA
14
SPA
12
POR
14
POR
14
POR
8
SPA
18
SPA
2
SPA
3
8位 163
2024年 AUS
6
AUS
7
AUS
12
SPA
8
SPA
10
SPA
9
NED
13
NED
14
NED
7
ITA
ITA
ITA
GBR
GBR
GBR
CZE
CZE
CZE
POR
POR
POR
HUN
HUN
HUN
FRA
FRA
FRA
ITA
ITA
ITA
SPA
SPA
SPA
SPA
SPA
SPA
10位* 46*

* 現在シーズン中。

脚注[編集]

外部リンク[編集]