ホンダ・GB

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

GB(ジービー)は、本田技研工業が製造・販売していた単気筒エンジンを搭載するオートバイのシリーズ車種である。

概要[編集]

1983年に発売されたGB250クラブマンが第1弾となる。2年後の1985年にはGB400TTおよびGB500TTが発売され、同時にロケットカウルを装備したGB400TT MkIIも限定販売された。

シリーズ全車に「放射状4バルブ方式燃焼室RFVC (Radial Four Valve Combustion Chamber) を採用しており、この機構により省燃費と高出力化を実現している。

GB250クラブマンはCB250RSの後継および発展機種に相当するため、GBシリーズは系統としてはホンダ・CB系に属する。ネーミングの由来としてEXCITING BIKE Special Vol.1「GB250」で開発関係者から語られた「当初は『CB』の商標で販売が予定されたが、上層幹部が開発途中のGBシリーズを見た時に『CBは時代の先端を進んでいくイメージ、対してこれは時代を逆行している感じだ』と述べたことからGB250クラブマンとなった。」という話が知られている。

モデル一覧[編集]

250ccクラス[編集]

GB250CLUBMAN(1983年式)
GB250クラブマン(1983年 - 1997年)
  • E型 - 1983年12月07日発売
  • H型 - 1987年02月10日発売
  • J型 - 1988年06月01日発売
  • L型 - 1989年12月22日発売
  • P型 - 1993年04月01日発売
  • S型 - 1995年02月10日発売
  • V型 - 1997年01月15日発売

350ccクラス[編集]

GB350シリーズ(2021年 - )
GB350・GB350S・GB350C
基本情報
排気量クラス 普通自動二輪車
メーカー 日本の旗本田技研工業
車体型式 NC59
* 2BL-NC59 (2021年モデル)
* 8BL-NC59 (2023年モデル)
エンジン NC59E型 348 cm3 4ストローク
空冷OHC2バルブ単気筒
内径×行程 / 圧縮比 70.0 mm × 90.5 mm / 9.5:1
最高出力 15 kW (20 PS) / 5,500 rpm
最大トルク 29 N⋅m (3.0 kgf⋅m) / 3,000 rpm
      詳細情報
製造国 日本の旗 日本 ホンダ熊本製作所[1]
製造期間 2021年 -
タイプ ネイキッド
設計統括 山本堪大 (開発責任者)[1]
若狭秀智 (エンジン開発)[1]
笹澤裕之 (GB350Cパッケージング)[2]
デザイン
フレーム セミダブルクレードル形式
全長×全幅×全高
ホイールベース 1,440 mm
最低地上高 166(GB350)・168(GB350S) mm
シート高 800 mm
燃料供給装置 PGM-FI (電子制御燃料噴射装置)
始動方式 セルフ式
潤滑方式 圧送飛沫併用式
駆動方式 チェーンドライブ
変速機 常時噛合式5段リターン
サスペンション テレスコピックフォーク
スイングアーム式
キャスター / トレール 27.30° / 120 mm
ブレーキ 油圧式ディスク
油圧式ディスク
タイヤサイズ 100/90-19M/C 57H
130/70-18M/C 63H (GB350)・150/70R17M/C 69H (GB350S)
最高速度 140.5 km/h[3]
乗車定員 2人
燃料タンク容量 15 L
燃費 WMTCモード値 (クラス2-1、1名乗車時):
41.0 (2021年モデル) km/L
39.4 (2023年モデル) km/L
カラーバリエーション 本文参照
本体価格 本文参照
備考
先代
後継
姉妹車 / OEM ホンダ・ハイネスCB350 (インドの旗 インド)
同クラスの車 ヤマハ・SR400
データベース
テンプレートを表示

デザインは「人とバイクに一体感」を追求したもので、艶消し加工を施されたタンクやサイドカバーと金属の光沢感によって抑揚をもたらされている。ハンドルが体に近い位置にあるため、乗車姿勢が自然と起き上がり、余裕のある姿勢になっている。エンジンは「空冷」「直立」「単気筒」の3つを表現し、力強く息の長い加速によって街中では軽快に走行することができる。また、「単気筒」の特徴であるエンジンの鼓動感がある。車体の振動を抑制する役割を持つバランサーが搭載されており、不快な振動だけを打ち消し、長時間の継続運転を可能にしている。マフラー音は重厚な低音と弾けるような高音を混ぜ合わせ、歯切れのいいサウンドになっている。シフトダウンをしたときにかかる急激なエンジンブレーキのショックを軽減するアシスト&スリッパ―クラッチが搭載されており、加減速を繰り返す街中走行で疲労が軽減されてしやすくなっている。

装備については、すべての灯火類がLED、メーターはギアポジションや時刻、燃費などの情報をコンパクトに表示、容量15Lのタンク、つま先でシフトダウンしかかとでシフトアップするシーソーペダルとなっているが、シフトアップはほかのMT車と同じく前ペダルでも行える[4][5]

バリエーションごとの差違[編集]

一見すると、どちらも違いがないように見えるが、それぞれ以下のような細かな特徴がある。

GB350
安定感のあるライディングポジションで乗車できる。上質感を感じさせるブラウンカラーのシートとスチール製の前後フェンダーが装備されている[6]
  • カラーリング
    •  キャンディークロモスフィアレッド(2021年モデルのみ)[6]
    •  マッドパールグレアホワイト(2023年モデルに追加)[7]
    •  マットジーンズブルーメタリック
    •  マットパールモリオンブラックメタリック
GB350S
ライディングポジションはGB350よりもやや前かがみの姿勢となる。これは、GB350よりもハンドルを低く遠い位置に設定し絞り角を浅くしたことによる。それに合わせて、タックロール風ワディングシートが装備され、メインステップ位置を変更している。さらにリアホイールを17インチに小径化し、よりワイドなラジアルタイヤを履かせてグリップ特性と安定性の両立を図っている。このほか、小型のLEDウィンカーとリア灯火類、軽量化された樹脂製前後フェンダー、専用デザインのサイドカバー、バンク角をより深める形状のマフラーを採用し、フロントフォークブーツを標準装備している[6]。これらの特徴により、スポーティなモデルとしてGB350と差別化している。
  • カラーリング
    •  プコブルー(2023年モデルに追加)[7]
    •  パールディープマッドグレー
    •  ガンメタルブラックメタリック
GB350C
インドで販売されるホンダ・CB350を、日本仕様に改めて発売される[8]。開発コンセプトを「The Standard Classical Motorcycle」とし、上の2モデルよりもクラシックで重厚な印象のデザインになっている[9]。前後のフェンダーを大型化し、大型フロントフォークカバーと専用のヘッドライトカバー、セパレートシートを装着する[9]
開発に携わった笹澤裕之によると、スタンダードのハイネスCB350よりもさらにクラシックなバイクを求める声に応じる形で提案したという[2]。マフラーやリムなどを含め、GB350と同じ外装を使っていないため全く別の見た目に仕上がっている。
2024年4月時点では、大阪モーターサイクルショー2024にて跨り可能な車両も用意されたことから、発売への準備ができつつあるようだ[8]
項目\モデル GB350
(2021年モデル)
GB350
(2023年モデル)
GB350S
全長×全幅×全高(mm) 2,180×800×1,105 2,180×790×1,105 2,175×780×1,100
最低地上高(mm) 166 168
重量(kg) 180 179 178
タイヤサイズ(前) 100/90-19M/C 57H
タイヤサイズ(後) 130/70-18M/C 63H 150/70R17M/C 69H
燃費(km/L、定地燃費値
(60 km/h、2名乗車時))
49.5 47.0
本体価格(税込) 550,000円 561,000円 594,000円
(2021年モデル)
605,000円
(2023年モデル)
  • GB350 2021年3月30日発表、4月22日発売[6]
    • マイナーチェンジ 2023年5月26日発表、7月6日発売[7]
  • GB350S 2021年3月30日発表、7月15日発売[6]
    • マイナーチェンジ 2023年5月26日発表、7月6日発売[7]
  • GB350C 2024年2月22日発表[9]、発売未定

400ccクラス[編集]

GB400TT / GB400TT MkII
GB400TT MkII
基本情報
排気量クラス 普通自動二輪車
メーカー 日本の旗本田技研工業
車体型式 NC20
エンジン NC20E型 399 cm3 4サイクル
内径×行程 / 圧縮比 84.0 mm × 72.0 mm / 9.2:1
最高出力 34PS / 7,500rpm
最大トルク 3.4kgf・m / 6,000rpm
乾燥重量 150kg・155 kg
車両重量 168kg・171 kg
テンプレートを表示
GB400TT / GB400TT MkII(1985年 - 1987年)
GB400TT(ジービー400ツーリストトロフィー)は1985年7月20日に発売された。
GB500TTと共通の車体に、500ccクラスの「PC16E型」のボア・ストロークをダウンした「NC20E型」エンジンを搭載。シングルシートを装備するMkIIや500TTと異なり、ダブルシート仕様となっている。
GB400TT MkII(ジービー400ツーリストトロフィー・マークツー)は1985年8月20日に発売された。
GB400TTをベースとした派生仕様。ロケットカウル型のハーフフェアリングとシングルシートを装備したモデルであり、それ以外の車体構成は基本的に同一である。なお、400TTは国内年間6000台予定の通常販売となっていた一方、MkIIは4000台の限定販売となっていた。
車名のTTは「ツーリスト・トロフィー」の略称であり、マン島TTレースで活躍した1960年代の英国車の雰囲気を強くイメージしたデザインとなっている。なお、ホンダは1959年に同レースに初参戦して完走を果たし、1961年には初優勝を飾っている。

500ccクラス[編集]

GB500TT
GB500TT
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗本田技研工業
車体型式 PC16
エンジン PC16E型 498 cm3 4サイクル
内径×行程 / 圧縮比 92.0 mm × 75.0 mm / 8.9:1
最高出力 40PS / 7,000rpm
最大トルク 4.2kgf・m / 5,500rpm
乾燥重量 149 kg
車両重量 167 kg
テンプレートを表示
GB500TT(1985年)
GB500TTに搭載されるエンジンは、輸出用エンデューロレーサーXR500RDで採用されたエンジンを元に、フライホイールマスの増加やセルフスターターの追加、ツインキャブからシングルキャブへの変更などを施した「PC16E型」を採用。なお、400TTでは同型のボア・ストロークをダウンした「NC20E型」エンジンを搭載している。
シングルシートを標準装備しており、タンデム使用を想定しない一人乗りである点も特徴となっている(400TT MKIIも同様にシングルシートを標準装備)。

脚注[編集]

  1. ^ a b c 宮﨑健太郎 (2021年6月27日). “「ふたりの友情と、ひとつの夢の物語」──ホンダGB350開発秘話”. GQ JAPAN. 2024年1月10日閲覧。
  2. ^ a b 関谷守正 (2024年4月24日). 上野茂岐: “開発者に聞いたホンダ GB350Cの魅力「外装はほぼ新設計&リアル金属」クラシック感を追求した豪華な作りに注目!”. モーサイ. 2024年5月21日閲覧。
  3. ^ GB350 | 5MTのギヤ比と加速・最高速 [141km/h NC59型 2021年]”. greeco motorcycle. 2024年1月11日閲覧。
  4. ^ 【シーソー式】GB350 シーソー式のシフトペダルがいい感じ【ホンダ】”. Rioblog (2021年7月5日). 2024年5月20日閲覧。
  5. ^ GB350車種カタログ”. Honda公式ホームページ. 2022年7月17日閲覧。
  6. ^ a b c d e 新型ロードスポーツモデル「GB350」「GB350 S」を発売”. 本田技研工業. 2024年1月11日閲覧。
  7. ^ a b c d ロードスポーツモデル「GB350」「GB350 S」の仕様を一部変更し発売”. 本田技研工業. 2024年1月11日閲覧。
  8. ^ a b ホンダ「GB350 C」撮影レポート|各部装備を徹底チェック! スタンダードのGB350とのちがいを見てみよう”. Webオートバイ (2024年4月12日). 2024年5月20日閲覧。
  9. ^ a b c 「第40回 大阪モーターサイクルショー2024」「第51回 東京モーターサイクルショー」「第3回 名古屋モーターサイクルショー」Hondaブース出展概要について”. 本田技研工業 (2024年2月22日). 2024年5月20日閲覧。
  10. ^ a b ホンダ・プレスインフォメーション - 1985年6月19日

外部リンク[編集]

本田技研工業公式HP
バイクブロス
BBB BIKE The History