虹 (L'Arc〜en〜Cielの曲)
「虹」 | |||||||||||||||||||||||||
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L'Arc〜en〜Ciel の シングル | |||||||||||||||||||||||||
初出アルバム『HEART』 | |||||||||||||||||||||||||
B面 | THE GHOST IN MY ROOM | ||||||||||||||||||||||||
リリース | |||||||||||||||||||||||||
規格 |
8cmシングル 12cmシングル デジタル・ダウンロード | ||||||||||||||||||||||||
ジャンル | ロック | ||||||||||||||||||||||||
時間 | |||||||||||||||||||||||||
レーベル | Ki/oon Sony Records | ||||||||||||||||||||||||
作詞・作曲 |
hyde (作詞) ken (作曲) | ||||||||||||||||||||||||
プロデュース |
L'Arc〜en〜Ciel CHOKKAKU、秦野猛行 | ||||||||||||||||||||||||
ゴールドディスク | |||||||||||||||||||||||||
※ いずれも日本レコード協会認定 | |||||||||||||||||||||||||
チャート最高順位 | |||||||||||||||||||||||||
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L'Arc〜en〜Ciel シングル 年表 | |||||||||||||||||||||||||
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「虹」(にじ)は、日本のロックバンド、L'Arc〜en〜Cielの7作目のシングル。1997年10月17日発売。発売元はKi/oon Sony Records。
解説[編集]
4thアルバム『True』から約10ヶ月ぶりとなる新譜で、前作「Lies and Truth」以来約11ヶ月ぶりとなるシングル。1997年2月にドラマーのsakuraが覚醒剤取締法違反により逮捕され、事実上の活動休止状態だったL'Arc〜en〜Cielにとって、活動再開一発目のシングルリリースとなっている。本作のレコーディングには、前述の逮捕もありsakuraは参加しておらず、本作はhyde、ken、tetsuyaの3人体制のL'Arc〜en〜Cielが唯一発表した作品となっている。3人体制となった状態でリリースを踏み切ったことについて、メンバーは「この曲は3人で出さなければならない」と本作発売当時のインタビューで語っていたことがある。
本作発表の約5ヶ月前の1997年5月には、前述のsakuraの逮捕を受け、残りのメンバー3人はリフレッシュも兼ね、イギリス・ロンドンに渡航している[2]。ロンドンではhyde、ken、tetsuya及びマネージャー2人の計5名でフラットを借り[2]、同年5月8日から同年5月23日まで共同生活を送ったという[2]。ロンドンでの生活について、帰国後に受けたインタビューでメンバーは、市街のクラブに遊びに行ったり、様々なアーティストのライヴを鑑賞しに出掛けていたと述べている[3]。また、kenは渡航先の楽器屋に入った際に、目についたアコースティック・ギター、ギブソン・J-50を購入したという。日本に戻った後、kenがこのギターを何気なく鳴らしていたときに、偶発的に表題曲の原型が生まれている[4]。こうして出来た曲の原型をもとに、メンバーとセッションを重ね、力強さと希望が秘められたドラマティックかつスケールの大きな楽曲に仕上げられている[5]。
なお、本作の表題曲は、バンド名の「L'Arc〜en〜Ciel」を日本語に訳した「虹(=空に架かる弧)」というタイトルが付けられており、L'Arc〜en〜Cielを代表する楽曲の一つとなっている。このタイトルに込めた想いについて、作詞者であるhydeは「虹っていうのは、雨が止んで太陽が出た時に、空に咲く花のようなものだと思うんですよ。つまりそういう想いや状況になっていてこそ伝わるものが、きっとあるはずだって。そう思ってタイトルを"虹"にしたんです。でもそれは僕の個人的な気持ちだから。このタイトルを見て、この曲を聴いた人、ひとりひとりがそれぞれに、その意味を考えてくれていいと思ってます[6]」と述べている。
ただ、表題曲のタイトルを決めた当初、hydeは安直な曲名と感じていたため、あまり気に入ってなかったという[7]。タイトルを決めた経緯について、hydeは「詞を書き始めた時から、なんとなくその言葉("虹")はアタマの中にあって。"くさいタイトルやなぁ"と思いながらも詞を進めて行って、まぁタイトルは最後に考えればいいやと思ってたんだけど、いざ最後にタイトルを考えようと思ったら、もうそれ以外はどうも色あせた感じになってしまって。で、もうクサイけどこれはメンバーに言うしかない!と思って、"クサイと思うんやけどどうかなぁ?"って。そうしたらみんなも微妙な顔して(笑)、"いや、確かに分かるけどぉ"って感じ(笑)。でも最終的にもうそれ以外に見つからなかった[7]」と述べている。「虹」というタイトルをhydeから聞いた時の心境について、作曲者のkenは「単純に"あ、いいなあ"っていうのと"思いっきしすぎるかな"っていうのがありましたね。でも、次第に"こういう思いっきしすぎるのもいいんじゃないか"ってなった[8]」と語っている。また、tetsuyaは「最初にhydeから聞いたとき、時間をおいて慣れたら絶対もっと印象がよくなる言葉だと思った[8]」と述懐している。
なお、本作の表題曲はメンバーにとって非常に思い入れの深い楽曲となっている。2005年に放送されたテレビ朝日系音楽番組『ミュージックステーション』に出演した際、司会のタモリに「ラルクの中で大切にしたい曲はある?」と聞かれ、hydeはこの曲をあげている。また、同番組の別の放送回に出演した際には、「21世紀に残したい曲」というテーマに対してこの曲をあげている。さらにライヴにおいてこの曲は、バンドの代表曲ということもあり頻繁にセットリストに組み込まれており、特に記念となるライヴの本編ラストやアンコールのラストで演奏されることが多い。2006年に開催した結成15周年を記念したライヴ「15th L'Anniversary Live」、2011年に開催した結成20周年を記念したライヴ「20th L'Anniversary LIVE」の初日公演、2022年に開催した結成30周年を記念したライヴ「30th L'Anniversary LIVE」では、公演を締めくくる最後の曲としてこの曲が披露されている。ちなみに、1997年に東京ドームで開催したライヴ「1997 REINCARNATION」において、この曲をL'Arc〜en〜Ciel名義で初披露した際は[注 1]、公演の幕開けとなる1曲目および公演を締めくくるラストナンバーとして、1公演で計2回演奏している。また、2011年に放送されたテレビ朝日系特別音楽番組『ミュージックステーションスーパーライブ 2011』では、約14年ぶりにこの曲がテレビで披露されている。余談だが、シンガーソングライターの平井堅が、1999年7月7日に開催したコンセプト・ライヴ「Ken's Bar」において、この曲のカバーを披露している。また、2023年6月27日にギター&ベースブランドのフェンダーが、東京・原宿の「FENDER FLAGSHIP TOKYO」において同店のグランドオープニングパーティーを開催した際、kenを含め多くのアーティストによるスペシャルセッションを催しているが、ken、MIYAVI、Suspended 4thのセッションコーナーでこの曲が演奏されている[9]。
ところで、L'Arc〜en〜Cielの7作目のシングルとして発表する予定だった表題曲は、実を言えばアルバム『True』に収録されていた楽曲「the Fourth Avenue Café」であった。このシングルカットは、「the Fourth Avenue Café」がフジテレビ系列で放送されたテレビアニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』のエンディングテーマに使用されたことがきっかけとなり決まったものであり、1997年3月26日にこの曲を表題曲としたシングルを発売する予定で音楽雑誌などでプロモーション活動を行っていた。しかし、前述のsakuraの逮捕に伴い、アニメタイアップは僅か4話で打ち切られ、シングルカット自体も白紙化されることになった。こういった経緯から、結果的に「虹」が7作目のシングルの表題曲に抜擢されることになり、奇しくもシングルのナンバリングと虹の色数である「7」がリンクすることとなった。なお、アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚』に「the Fourth Avenue Café」を楽曲提供した縁もあってか、本作の表題曲は、同アニメの劇場版となるソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給映画『劇場版 るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 維新志士への鎮魂歌』のオープニングテーマに使用されている。
表題曲のミュージック・ビデオは、1998年4月22日に発表したMV・ライヴ映像集『A PIECE OF REINCARNATION』に初収録されている。また、2019年12月11日に公式YouTubeアーティストチャンネルにおいて映像の無料公開が開始されている。この映像のディレクターは、前作「Lies and Truth」ならびに前々作「flower」のミュージック・ビデオを手掛けた竹内スグルが務めている。この映像はイギリス・ロンドンで撮影されており[10]、映像には馬の仮装をした黒服や、謎の少女が登場するシーンが存在する。映画評論家のくれい響は、このミュージック・ビデオについて「これはカルトムービー『ウィッカーマン』の影響が強い[11]」と分析している。なお、映像の撮影は、1997年8月31日からの2度目のロンドン渡航の際に行われている[2]。ちなみに2度目の渡航ではyukihiroも参加し[2]、ロンドンに加えドイツにも訪れている[2]。余談だが、この映像は、公開した1997年に音楽専門チャンネル『スペースシャワーTV』が主催した音楽賞「SPACE SHOWER Music Video Awards 97」において、「BEST GROUP CLIP」を受賞している。
カップリングには、未発表楽曲の「THE GHOST IN MY ROOM」が収録されている。この曲は、「虹」がシングルの表題曲に決まったことを受け、hydeが本作のために書き下ろした楽曲となっている。書き下ろした経緯について、hydeは「今回は、ラルクお得意のちょっともの悲しい哀愁めいたことは避けたかったんですよ。すごく前向きな曲を2曲そろえたくて。(中略)1曲目は最終的に前向きに作ったつもりだから、それが2曲目でまた悲しい曲をやってしまうと、意味がなくなってしまうっていうか。曲順どおりに"虹"を聴いて"THE GHOST IN MY ROOM"を聴いて次に行けるようなものにつなげたかった[12]」と本作発売当時のインタビューで語っている。ちなみに、CDシングル1作目となる「Blurry Eyes」から前作「Lies and Truth」までのシングル作品にカップリングとして収録していた、表題曲からhydeのボーカルトラックを抜き取ったインストバージョン「hydeless version」(又は「Voiceless version」)は、本作で初めて収録が見送られている。
なお、本作の表題曲ならびにカップリング曲のドラム録りには、サポートドラマーとしてyukihiro(ex.DIE IN CRIES、ex.OPTIC NERVE、ex.ZI:KILL)が参加している。ドラマーが変わったことにより、sakuraの"即興的かつ肉体的なリズム&グルーヴを生むドラムプレイ"から、yukihiroの"緻密かつタイトで、マシーン・ビートとの同期も好んだドラムプレイ"へと、サウンド面で大きな変化を見せている。また、本作のレコーディングには、バンドのディレクターを務める中山千恵子の手配でマニピュレーターの斎藤仁が参加している[13]。なお、斎藤はyukihiroがリハーサルに来れない時のための「虹」のドラムパターンの打ち込みを担当していたという[13]。そして本作以降、斎藤はマニピュレーターとして、長きに渡りL'Arc〜en〜Cielの作品やhydeのソロワークスの楽曲制作に関わることとなり[14]、バンドに欠かせない仲間になっている。
本作の出来栄えについて、hydeは「(このシングルは)セールスとか関係なく、いろんな人に聴いてほしい。ホントに聴いてほしくて、詞書いたし、曲も作ったから。自分もすごく満足した作品ができて。ラルク アン シエルとして、いろんな人に聴いてもらえたら嬉しい曲です。買わなくてもいいよって感じ(笑)。人のCDでもいいから、聴いてよって[15]」と本作発売当時のインタビューで語っている。また、tetsuyaは「完成するまでに、とにかくもっとよくしようもっとよくしようって。トラックダウンも何回かやり直したおかげで、かなりいいものが出来たから。そのことが何より、今は凄く嬉しい[6]」と本作について述べている。
フィジカルは当時8cmシングルで発表されており、初回盤は特殊ジャケットとなっている。2006年には8cmシングル14作品を再発する企画が行われ、12cmシングルとして再発売されている。なお、7作目のシングルとして当初発表する予定だった「the Fourth Avenue Café」もこの再発企画に合わせ、L'Arc〜en〜Cielの29作目となるシングルとして発表されている。
発売初週となる1997年10月27日付のオリコン週間シングルチャートでは週間3位を記録し、L'Arc〜en〜Cielとして初となる週間シングルチャートTOP3入りを果たしている。また、オリコン調べでは初動売上枚数は30万枚を突破しており、累計売上枚数は前作を大幅に超える約72.3万枚を記録している。
収録曲[編集]
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「虹」 | hyde | ken | L'Arc〜en〜Ciel, CHOKKAKU | |
2. | 「THE GHOST IN MY ROOM」 | hyde | hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Takeyuki Hatano | |
合計時間: |
楽曲解説[編集]
- 虹
- ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給映画『劇場版 るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 維新志士への鎮魂歌』オープニングテーマ。
- 力強さと希望が秘められたドラマティックかつスケールの大きな楽曲[5]。バンド名の「L'Arc〜en〜Ciel」が、フランス語で「虹(=空に架かる弧)」を意味していることもあり、この曲はL'Arc〜en〜Cielを代表する楽曲の一つとして位置づけられている。
- 本作発売の約8ヶ月前となる1997年2月にドラマーのsakuraが逮捕され、バンドが事実上の活動休止となった後、同年5月から曲作りとリフレッシュのため、残りのメンバー3人はイギリスに渡航していたという。渡航先のロンドンにある楽器屋で、kenはアコースティック・ギター、ギブソン・J-50を購入したという[16]。そして、kenがこのギターを何気なく鳴らしていたときにこの曲の原型が生まれている[4]。曲の原型が生まれた経緯について、作曲を担当したkenは「(ロンドンで買ったアコギを)日本に持ち帰ってポロポロ弾いてるうちに出来てきた曲なんです。最近だとキーボードの前にちゃんと座って曲作ろうと思って作ったりしたんだけど、今回は遊んで弾いてる間に3分くらいで出来ちゃって。それを皆で合わせて演奏して、またいいほうへ持ってった[4]」と語っている。このように、原型を制作した時は具体的なイメージがあった訳でなく、偶発的に曲の着想が浮かんだため、ken自身も「俺、今まであり得ないと思ってたんだけどね。スラスラッと無意識に出来るなんてことは。いつもは部屋を暗くしたりとかして、少しフレーズが出来たら、それに対してこういう風なフレーズに進んだらカッコいいとか、そうやってきたから。だから曲をいじってるっていう時間もあるから、イメージもどんどん膨らんで、メロディ以外のことを考えたりっていうのが並行して進んでたんだけど、この曲はもうスッと出来ちゃって。NOイメージだった[4]」と語っている。ちなみに、本作の表題曲の候補となるデモ音源はこの曲以外にも多く存在していたというが、tetsuyaは「ごく自然にこの曲かなって…。みんなの意見が一致したっていう感じでした[17]」と語っている。また、hydeは「俺は最初からこの曲しか見えなかったんです。次のシングルは、こういう…強くて美しい雰囲気を持った楽曲でいきたいっていうイメージが先に頭の中にあったから[17]」と、この曲が表題曲に決まった経緯を語っている。
- さらにこの曲には、日本のメジャーシーンで流れるような楽曲にありがちな、Aメロ、Bメロ、サビという明確な展開が存在していない[4]。こういった楽曲構成になった経緯について、kenは「気持ち的には洋楽っぽくしたいとは思ってなかったんですけど、日本で聴いてかっこいいと思う曲が海外で聴いてあんまりよくないなということもあるし、逆にどこがいいのこんな曲?って思ってた海外の曲をロンドンで聴いたらしみてきたりとか。今回ロンドンに行ってそういうのを感じたから、それが無意識に出てるのかもしれない[4]」と振り返っている。ちなみに、kenを含めメンバーは、ロンドンに滞在していた頃に市街のクラブに出かけたり、様々なアーティストのライヴを鑑賞しに行っていたという[3]。kenは本作発売当時のインタビューで、ロンドン渡航中に観た印象的なライヴとして、ザ・フーやニック・ケイヴのライヴをあげている[3]。
- この曲のドラマーには、後にL'Arc〜en〜Cieに正式加入することとなるyukihiro(ex.DIE IN CRIES、ex.ZI:KILL)が参加している。kenはyukihiroに対し「何々っぽくとかいうんじゃなくて、叩いてる人の顔が見えるようなドラミングなら何でもOK[18]」とリクエストを出していたという。さらに、この曲のプロデュースおよびアレンジ作業には、CHOKKAKUが参加している。この起用はバンドのディレクターを務めた中山千恵子の推薦によるもので、kenは「(アレンジは)いろんなことを削っていく方向、ギターが前に出る方向でCHOKKAKUさんは動いてたかな[4]」とアレンジ作業について述べている。
- 余談だが、kenはこの曲の仮タイトルに「ペニンシュラ」という名前を付けていたという[19]。この仮タイトルは、香港にある有名ホテルから取られている。ken曰く、香港の主権がイギリスから中華人民共和国に返還される前に、一度香港を見ておきたかったため、曲提出の締め切り前であることを承知で旅行に出かけたという[19]。そこでkenは、香港に遊びに行っていると思われないようにするため、すでに原型が出来上がっていた「虹」に、香港を彷彿とさせる仮タイトルを付けたという[19]。このエピソードについて、kenは「香港でずっと遊んでたと思われると困るので(笑)、"香港に曲書きに行ってきます"ということにして。だから、あたかも香港でイメージがわいたかのように、仮タイトルが「ペニンシュラ」[19]」になったと音楽雑誌のインタビューで述懐している。ちなみに、香港にはtetsuyaとyukihiroも訪れており、これと似たようなエピソードが「DIVE TO BLUE」の制作においても存在する(詳細は「DIVE TO BLUE」の楽曲解説の項目を参照)[20]。
- 歌詞はhydeが手掛けており、曲が進むにつれて前向きな想いが溢れるようなリリックが綴られている。歌詞のイメージは、曲ができる以前からhydeの中にあったといい、hydeは「人に訴えるような詞にしたい[17]」と思っていたという。また、作詞作業についてhydeは「きっと何を書いてもsakuraの事件にからめた、いろんな解釈の仕方をされるでしょ。で、それは避けられないことでもあると思ってるから。そういう部分で、最初はちょっととまどいがあった[17]」と語っている。出来上がった歌詞について、hydeは「最終的には…。なんていうか、自分のまわりすべてを包み込めるような詞になったなと思います[17]」「とにかく前向きでいようと。その気持ちは絶対に失くしちゃいけないなって思ってました[17]」と述べている。
- また、歌詞は全体的にhydeが得意としている叙情的なフレーズが展開されているが、<全ては真実と共にある>というフレーズは、テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する台詞をオマージュしたものとなっている[21]。このフレーズは、前述のアニメに登場するキャラクター、加持リョウジが葛城ミサトに宛てたメッセージの一節の「葛城、"真実は君と共にある"、迷わず進んでくれ[22]」を意識したものとなっており[21]、tetsuyaのリクエストで歌詞に取り入れられたという[21]。ちなみに、オマージュを取り入れたのは、この曲を手掛けていたころにhydeとtetsuyaがこのアニメを熱心に観ていたことが影響しており、このフレーズについて後年tetsuyaは「加持さんのセリフをもとに僕が提案したんですよ。リスペクトして引用してるっていうか、モチーフにしてるというか[21]」と語っている。また、tetsuya曰く、本作のジャケットに関してもエヴァンゲリオンの雰囲気を意識したデザインを採用したという[23]。余談だが、本作に関するインタビュー記事が載った音楽雑誌『WHAT's IN?』(1997年10月号)の表紙にL'Arc〜en〜Cielの写真が使われているが、この撮影でtetsuyaは、同アニメに登場する秘密結社・ゼーレを表す7つの目の紋章が刺繍されたシャツを着用している。さらに音楽雑誌『B=PASS』(1997年11月号)には、同アニメに登場するキャラクター、第2使徒のリリスが刺繍されたシャツを着用しているtetsuyaの写真が掲載されたページがある[17]。
- 間奏にはhydeによるポエトリーリーディングが取り入れられている。音源ではhydeが詩を読み上げているが、ライヴで披露する際はkenが読み上げることもある。ちなみに、この台詞部分のリリックは1997年に東京ドームで開催したライヴ「1997 REINCARNATION」のグッズTシャツにも綴られている。
- 5thアルバム『HEART』にはアルバムバージョンとなる「Album Version」としてこの曲を収録している。アルバムに収録されたバージョンでは、シングルバージョンとミックスが異なり、分かりやすい部分では間奏部分のポエトリーの部分が聴き取りやすいミックスとなっている。このアルバムミックスは、レコーディング・エンジニアの比留間整の意向が大きく反映されており、hydeは「エンジニアの比留間さんが"僕はこうしたい"っていう感じ[24]」と表現している。ちなみに、ミュージック・ビデオに使われた音源も間奏のポエトリーの部分が聴き取りやすいミックスとなっているが、ポエトリー以外の他の部分はシングル収録版のミックスと差違はない。ちなみに、本作に収録されたシングルバージョンは、2001年に発表したベストアルバム『Clicked Singles Best 13』に初収録されている。
- THE GHOST IN MY ROOM
- 作詞・作曲: hyde / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel & Takeyuki Hatano
- 表題曲と打って変わり、ホワイト・ファンクのようなギターが印象的な明るいダンサンブルな楽曲に仕上げられている[15]。リリックは表題曲からの流れを受け、前向きな想いが乗せられている。作詞・作曲を手掛けたhydeは、この曲について「"虹"がこの半年近くの僕達に問われてきたものの答えだとしたら、その次の曲で暗い雰囲気にしたくなかった[6]」「もっとノリのいい形で気持ちがフェイド・インする感じのものにしようと思ったんです[6]」と述べており、表題曲からの流れを意識し、この曲をカップリングとして収録したという。
- この曲の制作の経緯について、tetsuyaは「カップリングどうしようって考えた時に、hydeが"これをシングルにするなら、カップリングはご機嫌なロックンロール・ナンバーが欲しい"って言い出して。そんなタイプの曲は、その時なかったんで"じゃあ、俺が作る"ってhydeが作ってきたんです。セッションしながら作った感じの曲で、すごく気に入ってます[25]」と語っている。また、バンドのディレクターを務める中山千恵子は、本作発売当時のインタビューで「カップリングに関してはINXSとか'80年代のロックっぽい曲でいきたいということになりまして。でもそれはこの段階(1997年6月24日に実施した2回目の曲出し会のとき)ではまだ出ていなかったんですけどhydeが"書く"って自分で言って[2]」と述懐している。なお、この曲のプロデュースおよびアレンジ作業には、L'Arc〜en〜Cielのサポートキーボーディストを務める秦野猛行が参加している。
- さらに、この曲にはブレイクビーツが取り入れられているが、これはサポートドラマーとしてレコーディングに参加していたyukihiro(ex.DIE IN CRIES、ex.ZI:KILL)が手掛けたものとなっている[26][27]。2004年に受けた音楽雑誌のインタビューにおいて、この曲の制作を振り返り、yukihiroは「(この曲に)ブレイクビーツとかを入れるって話になってて、まあ僕そういうことずっとやってたから"ちょっとやってみていい?"とか、そういうのもやらせてくれた[27]」「"こんなこと俺やっていいのかな"とか思いながらやってたんですけど、メンバーでもないのに(笑)[26][27]」と述懐している。
- yukihiroとの楽曲制作を振り返り、kenは「この曲の音作りをした時は、最初yukihiro欠席で。マニピュレーターの人が、何気なく機械をいじってループを出したんですよ。で、それいいね、使ってみようかって言ってて、そこへ、yukihiroが出席して。彼がどんどんそれを形にしていって、最終的にループのところはyukihiroのアイデアのものに差し換えていったんです[6]」「ループと差し換えた後にyukihiroもドラムを叩いて、俺らの音も全部突っ込んだ時点でね。なんていうか、ゴムマリが弾むような?そんな感覚が出てたんで凄いよかった。ほら、この手のビートって、そういう感覚がないまんまのものもあるけど、それがあるからラルクの楽曲として凄く完成度の高いものになってる[6]」と本作発売当時に語っている。また、tetsuyaは「こういうブレイクビーツみたいなことって初めてやったから。作業を見てるだけで面白かったです[6]」と述懐している。
- ちなみに、この曲は1999年に開催したライヴツアー「1999 GRAND CROSS TOUR」の一部公演で披露されていたが、このツアーの後は現在までライヴで披露されていない。
参加ミュージシャン[編集]
カバー[編集]
(※)音源がフィジカルに収録されているものに限り記載する。
- TLC (2012年、トリビュートアルバム『L'Arc〜en〜Ciel Tribute』に収録)
- SHOW-YA (2014年、アルバム『Glamorous Show ~Japanese Legendary Rock Covers』に収録)
収録アルバム[編集]
オリジナルアルバム
- 『HEART』 (#1,アルバムバージョン)
ベストアルバム
- 『Clicked Singles Best 13』 (#1)
- 『The Best of L'Arc〜en〜Ciel 1994-1998』 (#1)
- 『The Best of L'Arc〜en〜Ciel c/w』 (#2)
- 『QUADRINITY 〜MEMBER'S BEST SELECTIONS〜』 (#1,アルバムバージョン)
- 『TWENITY 1997-1999』 (#1,アルバムバージョン)
- 『WORLD'S BEST SELECTION』 (#1,アルバムバージョン)
- コンピレーションアルバム
- 『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- COMPLETE CD-BOX』 (#1)
- 『るろうに剣心 Complete Collection』 (#1)
受賞[編集]
- 『SPACE SHOWER Music Video Awards '97 “BEST GROUP CLIP”』
参考文献[編集]
- 『WHAT's IN?』、ソニー・マガジンズ、1997年10月号
- 『uv vol.23』、ソニー・マガジンズ、1997年
- 『PATi PATi』、ソニー・マガジンズ、1997年11月号
- 『B=PASS』、シンコー・ミュージック、1997年11月号
- 『hv vol.5』、ソニー・マガジンズ、1997年
- 『uv vol.28』、ソニー・マガジンズ、1998年
- 『WHAT's IN? PICTORIAL Vol.6』、ソニー・マガジンズ、1998年
- 『uv vol.29』、ソニー・マガジンズ、1998年
- 『ROCKIN'ON JAPAN』、ロッキング・オン、2004年3月号
- 『哲学。』、ソニー・マガジンズ、2004年
- 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、ソニー・マガジンズ、2006年
- 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 02』、ソニー・マガジンズ、2006年
- 『別冊宝島1399 音楽誌が書かないJポップ批評47 L'Arc-en-Cielの奇跡』、宝島社、2007年
- 『BASS MAGAZINE SPECIAL FEATURE SERIES / tetsuya L'Arc〜en〜Ciel』、リットーミュージック、2010年
- 『音楽プロデューサー 岡野ハジメ エンサイクロペディア CATHARSIS OF MUSIC』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2019年
- 『Rolling Stone Japan L'Arc-en-Ciel 30th L'Anniversary Special Collectors Edition』、CCCミュージックラボ、2021年
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 「虹」の初披露の場は、L'Arc〜en〜Ciel名義での開催公演としてはライヴ「1997 REINCARNATION」となっている。ただ、同ライヴの1週間前にL'Arc〜en〜Cielは、変名バンドthe Zombiesとして、ライヴ「Live Tour NIGHTMARE BEFORE CHRISTMAS EVE」を開催しており、この公演で「虹」の初披露が行われている。
出典[編集]
- ^ ダウンロード認定 2014年1月 - 日本レコード協会
- ^ a b c d e f g 『B=PASS』、p.25、シンコー・ミュージック、1997年11月号
- ^ a b c 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、p.112、ソニー・マガジンズ、2006年(『WHAT's IN? 1997年10月号』の再掲)
- ^ a b c d e f g 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、p.139、ソニー・マガジンズ、2006年(『hv vol.5』の再掲)
- ^ a b 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、p.136、ソニー・マガジンズ、2006年(『hv vol.5』の再掲)
- ^ a b c d e f g 『B=PASS』、p.17、シンコー・ミュージック、1997年11月号
- ^ a b 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、p.137、ソニー・マガジンズ、2006年(『hv vol.5』の再掲)
- ^ a b 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、p.119、ソニー・マガジンズ、2006年(『PATi PATi 1997年11月号』の再掲)
- ^ "フェンダー、初の旗艦店オープン直前にレセプションパーティー開催 ラルクken×MIYAVIらサプライズセッション続出". オリコン. 27 June 2023. 2023年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月27日閲覧。
- ^ 『Rolling Stone Japan L'Arc-en-Ciel 30th L'Anniversary Special Collectors Edition』、p.54、CCCミュージックラボ、2021年
- ^ 『別冊宝島1399 音楽誌が書かないJポップ批評47 L'Arc-en-Cielの奇跡』、p.12、宝島社、2007年
- ^ 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、p.138、ソニー・マガジンズ、2006年(『hv vol.5』の再掲)
- ^ a b 『音楽プロデューサー 岡野ハジメ エンサイクロペディア CATHARSIS OF MUSIC』、p.169、シンコーミュージック・エンタテイメント、2019年
- ^ 『音楽プロデューサー 岡野ハジメ エンサイクロペディア CATHARSIS OF MUSIC』、p.168、シンコーミュージック・エンタテイメント、2019年
- ^ a b 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、p.117、ソニー・マガジンズ、2006年(『uv vol.23』の再掲)
- ^ "【イベントレポ】ラルクのKen、「虹」Guitar Clinicで「自分だけの弾き方を楽しみながら」". BARKS. 25 December 2016. 2023年2月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g 『B=PASS』、p.16、シンコー・ミュージック、1997年11月号
- ^ 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、p.140、ソニー・マガジンズ、2006年(『hv vol.5』の再掲)
- ^ a b c d 『WHAT's IN? PICTORIAL Vol.6』、p.30、ソニー・マガジンズ、1998年
- ^ 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 02』、p.68、ソニー・マガジンズ、2006年(『uv vol.29』の再掲)
- ^ a b c d 『哲学。』、p.88、ソニー・マガジンズ、2004年
- ^ テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』第弐拾参話より
- ^ 『BASS MAGAZINE SPECIAL FEATURE SERIES/tetsuya L'Arc〜en〜Ciel』、p.17、リットーミュージック、2010年
- ^ 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 02』、p.45、ソニー・マガジンズ、2006年(『uv vol.28』の再掲)
- ^ 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、p.143、ソニー・マガジンズ、2006年(『hv vol.5』の再掲)
- ^ a b 『ROCKIN'ON JAPAN』、p.77、ロッキング・オン、2004年3月号
- ^ a b c 『ROCKIN'ON JAPAN』、p.78、ロッキング・オン、2004年3月号